ベッドの周りだけ防音する?寝室の防音工事で快適な睡眠環境は実現できる!
防音工事と聞くと、自宅で楽器の演奏を考えている、カラオケやホームシアター設備を導入したいなど、通常とは比較にならないほど大きな音を生じさせる可能性がある場合に、専用の防音室を作るための工事というイメージが強いのではないでしょうか?実際に、防音工事が日本国内で注目されるようになったのは、集合住宅にてピアノ騒音による重大事件が発生してからとされています。つまり、近隣住民に自分が生じさせる音で迷惑をかけないようにするという配慮を目的にコストをかける物だったのです。
ただ、近年の防音工事の相談を振り返ってみると、楽器音やカラオケ音のような大きな音の対策だけでなく、快適な住環境を実現するために防音工事を検討しているというパターンが増えています。これは、集合住宅で生活する人が増えた、戸建てでも家と家の距離が近くなったなど、人々の生活空間が近づいていることから、ちょっとした生活音から近隣トラブルに発展してしまうことが増えているからです。
特に、ここ数年多くなっている防音工事では「静かで快適な睡眠環境を作るため、寝室の防音をしたいのですが?」という相談が増えています。人々のライフスタイルが多様化している現在では、隣人との生活時間の違いから「うるさくて眠れない…」と悩んでしまう方が増えていると言われています。
そこでこの記事では、多くの方が求めている、静かで快適な睡眠環境を構築するための対策について解説します。
そもそも睡眠環境に適した状態とは?
人が健康に過ごすためには、一日にに6~8時間程度の睡眠時間を確保することが望ましいとされています。もちろん、最適な睡眠時間は個人差があると思いますが、どちらにせよ多くの方は日常生活の約1/3の時間を睡眠に費やすことになります。そして、快適な睡眠環境を作ることができず、睡眠不足に陥ってしまうと、集中力が低下してミスが増える、さらに最悪の場合、健康被害に発展するなどの問題が生じます。したがって、世の中には、快眠グッズなるものがたくさん販売されるようになっていて、この記事を読んでいる方の中にも、普段から快眠グッズのお世話になっているという方は多いのではないでしょうか?
ただ、市販されている快眠グッズを利用していたとしても、そもそも良好な睡眠環境を構築できていなければ快眠を妨げられてしまう可能性があります。特に、音に関する問題が指摘される場合が多く、快眠グッズなるものを使用していたとしても、寝室に音が侵入することで睡眠を妨げられる…と悩む方は多いです。
そこでここではまず、一般的に睡眠に適した条件がどのような状態か、また睡眠を妨げる音とはどういったものが考えられるのかについてご紹介します。
一般的に「快適」とされる睡眠環境とは
快適な睡眠を実現するための条件については、人それぞれ個人差がありますが、誰でも「できるだけ静かな環境が望ましい」と考えるのではないでしょうか。例えば、近所のペットの鳴き声が聞こえる、上の階に住む人の足音が聞こえるといった状況だと、うるさくて眠れない…となってしまう可能性が高いです。現在では、人々のライフスタイルが多様化しており、家族間ですら生活時間帯が異なることから、就寝時に音の問題を抱えてしまう方が増えていると言われています。
それでは、一般的に快適な睡眠を実現するための音環境とはどのような状態が望ましいとされるのでしょうか?一般の方であれば、音については「うるさいと感じるかどうか?」など、大雑把に判断する方が多いのですが、音にもきちんと数値で示す基準というものが存在しています。音の大きさは「dB(デシベル)」という単位で表されていて、世界保健機構が定めた基準によると、夜間に聞こえる騒音で「睡眠に影響を及ぼす音の大きさ」は30dB以上としています。ちなみに、30dBというのは、図書館内の音環境と同レベルですので、かなり静かな環境と言っても間違いありません。
現在、何らかの音の問題で睡眠を妨げられる…と悩んでいる方がいれば、寝室内の音環境が「30dB」以下に保たれているかどうかを基準に対策を検討すると良いでしょう。もし寝室内にいて、30dB以上の音が耳に入るようであれば、何らかの防音対策を施すことで、快適な睡眠環境を構築することができるでしょう。ただ注意しなければならないのが、睡眠の邪魔となっている音について「どこから侵入しているのか?」によって必要な対策が変わります。例えば、家の前を通る自動車の音が気になる…という場合は、外部騒音が家の中に入らないようにしなければいけませんが、お子様などが生じさせる住宅内で発生している音の場合、外部騒音に向けた対策を行っても無意味になってしまうのです。快適な睡眠環境を構築するための具体的な対策については後述しますので、まずは睡眠を妨げている音の発生源を特定しましょう。
睡眠を妨げる音とは?
上述したように、睡眠を妨げる騒音にも種類が存在しており、快適な睡眠環境を構築するには、邪魔な音に対して適切な防音対策を施さなければいけません。寝室の防音対策を検討した時には、音にも「空気音」と「固体音」の2つの種類があるということを抑えておきましょう。空気音とは、音の発生源から空気を伝わって届く音の事を指していて、人の話し声やTVなどの音声、ペットの鳴き声などがこれに当たります。問題となっているのが空気音の場合、音が伝わる原因となる空気を遮断してあげる必要があります。一方、固体音とは、音の発生源から床や壁など、固体物を伝わって届く音を指します。分かりやすい例をあげると、上の階に住む人の足音やトイレの排水が配管を振動させて広範囲に伝わるといった音を指します。固体音の対策は、建物そのものを伝わって拡散するため、防音するためには空気音の対策よりも難しいという特徴があります。
一般的に、寝室で問題となるのは、以下のような音が考えられます。
- 集合住宅で、上の階に住む人の足音が聞こえる
- 住宅内で他の家族が生じさせる音が聞こえる
- 近所の方が飼育している犬の声が聞こえる
- 隣人が夜遅くまでTVを見ていて、その音が聞こえる
- 寝室が隣家のトイレ(お風呂)に面していて排水音が聞こえる
このように、睡眠を邪魔する音にもさまざまな種類があります。防音対策を施し、快適な睡眠環境を構築するためには、邪魔になっている音の特性を掴み、適切な対策を施さなければいけません。
快適な睡眠環境を作るための対策とは?
それでは、快適な睡眠環境を構築するための具体的な対策についてご紹介します。ここでは、自分でも可能な対策と、阪神防音のような専門業者に依頼すべき対策をご紹介します。
ベッドの周りだけ防音したい
寝室外からの騒音の侵入ではなく、パートナーのいびきなどベッド周りだけを防音したいという方もいると思います。この場合は、専門業者に防音工事を依頼しても意味がないので、快眠グッズに頼るのが一般的です。ベッドの周りだけの対策としては、以下のような手法があります。
- 耳栓をする
最も簡単な対策が耳栓です。イヤホンのように耳に装着するだけで音が聞こえなくなりますし、安価に手に入れることができるので、負担が少ないです。最近では、就寝時用に違和感が少ないタイプも登場していますし、耳栓になれている人なら就寝の邪魔にはならないでしょう。注意が必要なのは、目覚ましの音なども聞こえなくなりますので、寝起きが悪い方にはあまりおすすめではありません。 - イヤーマフを装着する
イヤーマフは、ヘッドホンのような形状をした大型の耳栓です。耳全体を覆ってくれるため、通常の耳栓よりも遮音性が高いです。ただ、実覚ましが聞こえないという問題は耳栓と同じく残りますし、さらに耳栓よりもかなり存在感があるため、イヤーマフを装着していることが理由で眠れない…となってしまう方もいると思います。 - 安眠ドームを使う
安眠ドームは、小さなテントのような製品で、頭をすっぽりとドームの中に収めることで音を聞こえにくくする製品です。遮音性などは耳栓などよりも低いですが、それなりの防音効果を持っています。また冬場などは、顔の周りが暖かいので眠りやすいという声もあります。
騒音が、寝室内で発生している場合、上記のようなアイテムを使って騒音を小さくするほかないでしょう。可能であれば、寝室を分けるという対策も考えられます。
家族間の騒音を防止する
音がうるさくて眠れない…という場合でも、屋外から侵入する音が問題となるわけではない場合があります。例えば、親世代と子供世代で就寝時間が異なることで、親が子供が生じさせる音で眠れない…なんてことになるケースは珍しくありません。家族間での音の問題については、家を建てる、購入する時から対策が始まっていると考えましょう。例えば、親の寝室の横にトイレやお風呂がある…なんて間取りになると、親が寝ている時間に子供がトイレ・お風呂を使うことで夜中に起こされてしまう…なんてことが考えられます。このような問題を防ぐには、親の寝室と子供の寝室、トイレなどを離した間取りにするなどの工夫が考えられます。
既に住んでいる住宅で、このような問題が発生している場合、以下のような対策が考えられます。
- 防音ドアを設置する
通常の室内ドアは、換気が為されるようにきちんと閉めていても隙間が生じるような作りになっています。つまり、空気の出入りが可能な状態になっているため、他の部屋の音が入ってくるのです。防音ドアは、ドアに生じる隙間をきちんと埋めることができるため、他の部屋の音を聞こえにくくすることが可能です。 - トイレなどの排水管に防音対策をする
トイレやお風呂の排水音が深夜に聞こえてきて起こされてしまう…という問題の場合、排水管の振動音が拡散しないように、配管に防音対策を施すと良いでしょう。なお、トイレそのものも静音タイプに入れ替えると、トイレの騒音は大きく軽減することが可能です。 - 天井の防音対策
上の階の足音などに悩んでいるという場合、寝室部分の天井に防音対策を施すという方法があります。家族間の問題であれば、静かに歩くように指示すれば良いですが、集合住宅の場合、自宅側に防音対策を施すのが手っ取り早いです。
屋外から侵入する騒音を防止する
就寝を邪魔する騒音が屋外から侵入しているという場合は、窓や壁、換気口などの防音対策が必要です。例えば、近所の犬の鳴き声が早朝に聞こえてきて起こされる…、家の前の道路を通る車の音がうるさいなどと言った場合、音の侵入を防がなければいけません。
対策としては以下のような方法が考えられます
- 窓の防音対策
住宅の窓は、防音上の弱点になりやすいです。窓は壁と比較すると非常に薄い素材なので、遮音性がそこまで高くありません。また、開閉がスムーズにできるよう、閉めていても小さな隙間が生じるような構造になっているため、空気音を完全にシャットアウトすることができないのです。このような窓の防音については、防音ガラスに交換する、既存窓の内側にもう一枚窓を設置して二重窓にするといった対策が考えられます。 - 壁の防音対策
築年数が経過した住宅の場合、壁の防音性が低く、外部騒音の侵入を防げていない…というケースが考えられます。この場合は、壁の中に吸音材や遮音材を追加して壁の防音性を高めるといった対策が必要です。 - 換気口の対策
窓や壁の防音対策を施しても、換気口を無視してしまうと意味がありません。現在の建築基準法では、24時間換気システムの設置が義務付けられているため、居室には換気のための設備が設置されています。防音仕様の換気口でない場合、単なる空洞が部屋に設けられている形になっていますので、音が出入りし放題になります。したがって、静かで快適な環境を作るには、防音仕様の換気口に交換する、換気口の中に消音材を設置するなどの対策が必要です。
外部騒音の侵入に対しては、上記のような対策が有効です。なお、外部騒音と家族の騒音両方に悩んでいるという場合は、寝室を簡易的な防音室に作り替えるのがおすすめです。楽器防音ほどの性能は必要ないため、低コストで快適な睡眠環境を作ることが可能です。また、防音室は、断熱性と気密性が高い環境が作れますので、寝室部分での空調コストの削減が期待できます。その他にも、テレワーク用の部屋として活用できるなど、部屋の利用用途が増えるといったメリットも考えられます。
まとめ
今回は、快適な睡眠環境を構築するため、寝室の防音工事について解説しました。記事内でご紹介したように、人が健康に過ごすためには、一日に6~8時間程度の睡眠時間を確保すべきとされています。もちろん、この睡眠時間はきちんと眠れていることが前提で、騒音などで睡眠を邪魔されてしまうと何の意味もありません。
現代社会は、人々のライフスタイルが多様化しており、自分にとっては就寝する時間でも、他の人にとってはまだまだ活動する時間ということも珍しくありません。そしてこの生活時間の違いから、睡眠を邪魔されてしまう可能性があるのです。快適な睡眠環境を構築するには、寝室に防音対策を施すなど、音が侵入することを防ぐのが大切ですので、記事内でご紹介した内容を参考にしてみてください。