最近よく聞く防音ブースとは?専門業者が作る防音室と比較した時のメリット・デメリット
近年では、音の悩みを抱えないように、自宅に高性能な防音環境を求める方が増えています。マンション暮らしの方が増えている、戸建てでも家と家の距離が近くなっているなどと言った理由から、近隣住民との騒音問題を抱える方が増えていることが一つの要因と考えられます。
ただ、自宅に高性能な防音環境が欲しいと考えている方でも、問題となっている音の種類によって必要な防音性能は全く異なります。例えば、自宅で楽器の演奏やホームシアターを楽しみたいなど、生活音とは比較にならない音を生じさせるため、近隣住人に配慮する目的の場合、専門業者による防音工事が求められます。ただ、コロナ禍以降、テレワークという勤務形態になり、昼間に近隣住人が生じさせる生活音を家の中に入ってこないようにしたいというレベルであれば、高いコストをかけてまで防音工事をするのはもったいないと考える方も多いです。このような場合に、非常に有用なアイテムになると言われているのが、防音ブースと呼ばれる製品で、近年、防音ブースへの注目度がどんどん高くなっています。
しかし、防音ブースと専門業者による防音室の違いをきちんと理解しておかなければ、購入後に後悔してしまう可能性があると言われています。そこでこの記事では、防音ブースとはどのような製品なのか、また、専門業者が作る防音室と比較した時のメリット・デメリットなどについて解説します。
防音ブースとは?
それではまず、年々その注目度が高くなっていると言われる防音ブースについて、これがどのような製品を指しているのかについて解説します。
防音ブースとは、その名称から分かるように、内外の騒音を遮断・吸収して防音対策が可能になる製品のことです。ただ、防音ブースにもいくつかのタイプが用意されていて、いわゆるユニット型防音室のように、防音効果を保持した電話ボックスのような製品から、デスクの上に設置して顔の周りを囲うことで音が聞こえにくくなる簡易的なものまで、さまざまな種類があります。箱型の防音ブースについて、防音ボックスなどと呼ばれますが、ユニット型防音室との違いは防音性能が本格的な製品よりも低いことがあげられます。
そもそも『ブース』という言葉は「小さく仕切った空間」のことを意味していますし、防音ブースはパーテーションのような物で仕切った空間でも、防音効果を保持する素材を利用していれば防音ブースと言っても差し支えないでしょう。一般的に、防音室は、部屋全体に防音対策を施し、壁や床、天井はもちろん、窓やドア、換気口などすべての箇所に音漏れ・音の侵入を防ぐ対策を施しています。しかし防音ブースの場合、左右に壁があるだけで天井がないなど、いわゆる部屋の形になっていないような物も含まれています。
つまり、本格的な防音室と比較すると、その性能はどうしても低くなってしまいます。もちろん、防音ブースの中には、きちんと個室になるような製品もありますので、利用用途に合わせて購入する製品を選ぶことは可能です。
防音ブースの主な用途
防音ブースと呼ばれる製品は、専門業者が作る防音室と比較すると、防音性能が高くないという特徴があります。というのも、防音ブースは、そもそも楽器防音やカラオケなど、大きな音を防ぐことを想定した製品ではないからです。防音ブースは、主に、以下のような場面で利用することを想定された製品です。
- テレワークなど自宅で仕事をする場合
コロナ禍以降、在宅勤務形態が広く普及し始めています。ただ、日本の住宅は家で仕事をする事を想定していない場合が多く、自宅で仕事をする際には、家族の姿が目に入る、家事の音が気になるといった問題が指摘されています。防音ブースは、デスクの上に置くだけでちょっとした防音効果と目隠し効果があるものから、1畳程度の個室タイプなどが用意されていて、自宅でも家族の姿を気にせずに仕事ができるようになります。つまり、在宅勤務に対応するために求める方が増えています。 - リモート学習用に使用する
テレワーク同様、子供の学習方法として、web会議ツールを利用する塾などが増えています。この場合も、子供が学習に集中できるようにするため、音や視線を遮る防音ブースが役立つと言われています。 - 動画配信
近年では、SNSなどを利用して、誰でも気軽に動画配信ができるようになっています。ただ、夜間に動画配信をしていると、話し声が迷惑になってしまう可能性があります。防音ブースは、楽器音などを防ぐまでの効果はありませんが、人の話し声程度であれば、十分に防音可能な性能を持つ製品があり、動画配信用に利用する方も多いようです。
このように、防音ブースは、人の話し声や家事の音など、生活音などが気にならなくなるようにする目的で利用される場合が多いです。
防音ブースのメリット・デメリット
それでは次に、実際に自宅に防音ブースを設置した場合のメリットとデメリットをご紹介します。ここでは、専門業者に依頼して作る本格的な防音室と比較した場合のメリット・デメリットをご紹介します。
防音ブースのメリット
まずは防音ブースのメリット面からです。
- コストをかけなくても自宅に仕事用の場所が作れる
防音ブースは、ある程度の防音効果と目隠し効果が得られます。テレワークが一般化してきたものの、自宅に書斎などがない家の場合、仕事中に家族が出す音や姿が目に入ることで集中を乱されるという話を聞く機会は多いです。防音ブースの中でも、個室タイプのものは、家事の音や視線に家族の姿が入ることを防ぐことができ、仕事に集中することができるようになります。さらに、防音ブースは、数万円~十数万円で購入することができるので、専門業者による防音工事と比較すると、圧倒的にコストを抑えられます。 - Web会議時の音漏れ・反響を防止できる
近年では、web会議ツールを利用したミーティングや商談が当たり前になっています。ただ、これらのツールを使用した会議は、同じ空間にいる人に音で迷惑をかける可能性があります。例えば、オフィスの自分のデスクでweb会議をする際には、近くの席の人からすると話し声が気になってしまう…という問題が生じます。これは、自宅でweb会議をする際も同様です。このような場合、防音ブースがあれば、話し声が拡散するのを防ぐことができますので、同じ空間にいる人に迷惑をかけなくて済むというメリットがあります。防音ブースは、防音室と違い、ピンポイントで対策ができる点が大きなメリットです。 - 場所をとらない
専門業者による防音工事は、一部屋をまるまる防音室にします。しかし防音ブースは、電話ボックスのような物を置くタイプから、デスクの上に設置する物、テントのように必要な時に広げるものなど、さまざまなタイプがあります。テントタイプのような物であれば、使用後はたたんで片付けることもできますので、生活スペースを圧迫することがない点もメリットと言えるでしょう。
防音ブースは、低コスト、省スペースで防音環境を構築できる点が最大のメリットです。web会議が当たり前になった現在では、オフィスの一角に複数の防音ブースを設置して、電話やweb会議の話し声が他の社員の邪魔にならないようにするといった対策を施す企業も増えています。
防音ブースのデメリット
それでは次に、防音ブースのデメリットについてもご紹介します。防音ブースは、名称にわざわざ『防音』という枕詞がつけられていることから、高い防音効果を持っているのではないかと考えて購入する方が多いです。しかし、高い防音効果を期待して防音ブースを購入した場合には、後悔する人も多いので注意が必要です。防音ブースは、以下のようなデメリットが指摘されているので、購入前に自分の利用用途に適した製品なのかは慎重に検討しましょう。
- 高い防音効果は持っていない
本末転倒な話ですが、防音ブースは基本的に防音効果を期待しない方が良いです。中には、人の声程度ならしっかりと防音してくれる製品もあるのですが、そのレベルになると30万円程度のコストがかかりますので、低コストという防音ブースのメリットが薄れてしまいます。安価なの物であれば、5万円程度から販売されているのですが、そのレベルの製品は、防音効果はほぼありません。というのも、安価なものは段ボールやテント素材で構成されていますので、高い防音効果を発揮しようがないのです。もちろん、全く効果がないとまでは言いませんが、家事の音でも気にならないレベルまで小さくなることはないでしょう。安価な防音ブースは、視線を遮ってくれるなど、目隠し効果なら期待できる程度と考えておきましょう。 - 個室タイプは暑い
個室タイプの防音ブースは、1畳以下のスペースしかありません。防音を目的にブースを利用する場合、きちんと扉を閉めて密閉空間にするのですが、この場合、人の体温やパソコンの熱などにより、室内の温度が上昇してしまうことになります。そのため、音や視線は遮ることができるようになるものの、室内が暑くて仕事に集中できなくなる…なんて可能性があるとされています。快適な室温を維持したい場合、防音ブースの扉を開けておく必要があるのですが、この場合、音が侵入してしまうようになります。ちなみに、換気や空調設備を利用すれば良いと考えるかもしれませんが、1畳以下の小さな個室に空調や換気設備の設置は難しいです。そもそも設置が不可能と言われる場合が多いですし、設置ができたとしても、機器の音をうるさく感じるようになるなど、本末転倒な結果を招きます。
防音ブースは、上記のように、安価なものはほとんど防音効果を期待できないという点が最大のデメリットでしょう。自宅で仕事をするためなど、ちょっとした音を防げれば良いという場合であれば、防音ブースでも構わないと考える方が多いのですが、実際に利用してみると、家族の姿が目に入らなくなるだけで、音は今まで通りに聞こえてしまい仕事に集中できなかった…なんて声を聞く機会は多いです。
さらに、防音ブースの購入目的が、楽器の演奏や声楽、動画配信などを目的としている場合、ほとんど役に立たないと考えた方が良いです。楽器や声楽、動画配信の中でもゲーム実況などになると、かなり大きな音を生じさせることが想定できます。上述しているように、防音ブースは、ダンボールやテント素材などを使用して個室に仕立てているだけのものが多く、高い防音効果を期待することができません。このような製品の中で楽器の演奏をした場合、生じさせた音はほとんどそのまま外に漏れて行ってしまいますので「コストをかけたのに騒音トラブルになる…」なんて最悪の結果を招く恐れがあります。
現在、防音ブースの購入を検討している方で、その利用用途が楽器の演奏やカラオケなどを考えている場合、専門業者による防音室工事がおすすめです。防音工事業者に依頼すれば、お客様の用途に合わせてジャストスペックの防音室を設計してくれますので、コストの無駄を省いたうえで、必要な性能を持つ防音室が実現するはずです。
まとめ
今回は、テレワークなどの新しい働き方が普及し始めた中で、年々その注目度が高くなっている防音ブースと呼ばれる製品について解説しました。日本の住宅は、家で仕事をすることが想定されておらず、どちらかというと、家族間のコミュニケーションがとりやすい工夫が随所に施されています。そのため、コロナ禍以降、在宅勤務形態が通常になったという方の中には、家で仕事に集中できず、どうしても効率が落ちてしまう…ということに悩む人が多くなっているそうです。
こういった時に役立つアイテムとして注目され始めたのが防音ブースと呼ばれる製品で、仕事に集中できる環境を安価に構築できると人気になんています。ただ、防音ブースの性能はピンからキリまであり、中には数万円の費用をかけて購入しても何の防音効果も持っていないという製品まであります。さらに注意しないのは、高額な製品でも楽器やカラオケなどに耐えられるレベルの防音性能を持つものはありませんので、防音ブースの防音効果は気休め程度と考えておいた方が良いです。
なお、テレワークが導入され、自宅に仕事に集中できる環境が欲しいと考えている方であれば、阪神防音のような専門業者に防音室を作ってもらうのがおすすめです。テレワーク用の防音室であれば、比較的安価に施工が可能ですし、しっかりした防音性を持つ部屋が出来上がるため、仕事以外の趣味の用途でも防音室を使えるようになります。現在、自宅にテレワーク用の部屋を作りたいとお考えなら、お気軽に弊社までお問い合わせください。