防音リフォームにかかる費用とは?防音リフォームが必要な人と具体的な対策について
今回は、日常生活の中にある音の問題を解消するための防音リフォームについて解説します。
私たちの日常生活の中には、さまざまな音が存在しています。どのような方であっても、普通の生活をしているだけでそれなりの音を出してしまうことになるため、いつ騒音問題に巻き込まれてもおかしくないと考えなければならないでしょう。例えば、近所の方が飼っているペットの鳴き声や水回りの排水音、掃除機や洗濯機が生じさせる音に家族の話し声、外から侵入してくる自動車や雨音など、普段の生活の中で、騒音に悩まされているという方は少なくないのではないでしょうか?
実は、こういった騒音問題は、建物の防音性能が弱点になっていて、リフォームを施すことで解決することができるかもしれません。そこでこの記事では、毎日が心豊かに快適に、そして健やかに過ごせるような防音リフォームについて具体的な手法を解説していきます。
防音リフォームの必要性について
それではまず、どういった方が防音リフォームを実施すべきなのか、どういった問題が解決できるのかと言った点を解説していきます。防音リフォームの具体的な手法については後述しますが、現在の建築技術ではさまざまな音の問題を解消できるようになっています。
以下のような悩みを抱えている方は、防音リフォームを検討すると良いでしょう。
- 二階の音が一階で響いてしまう
- 外部騒音でTVや会話の音が聞き取りにくい
- 楽器の演奏音が近所の人に迷惑をかけていないか心配
- ペットの鳴き声が近所の人に迷惑をかけていないか心配
- 近所の人が飼っている犬の鳴き声がうるさい
- 自動車の走行音が気になる
- 隣の人の生活音が気になる
上記のような騒音問題を抱えている場合、専門業者による防音リフォームで解決できる可能性があります。
防音リフォームの費用相場について
騒音問題を解消したいと考えても、防音リフォームにかかる費用が不安で、なかなか実行に移れない…という方も多いと思います。ただ、防音リフォームの費用に関しては、「何を行うのか?」でその費用はかなり変わり、音の悩みによっては拍子抜けするほど安価に収まるケースも少なくありません。
例えば、自宅で時間帯を気にせずにピアノの演奏がしたいという場合、本格的な防音室が必要になるため、防音リフォームには200万円近いコストがかかります。ただ、問題となっている音が、お隣さんのTVの音、ペットの鳴き声程度の生活音の場合、防音室工事までの本格的な対策は不要です。このような、生活音を防止するための防音リフォームであれば、窓を二重窓にする、遮音性の高い防音カーテンを設置する、床材を防音性の高い物に張り替えるといった部分的な対策で対処が可能です。
そして、部分的な防音リフォームにかかる費用については、一般住宅の平均で15万円程度で収まっているのです。ちなみに、窓を二重窓にするといった防音リフォームの場合、断熱補助金が採用できる場合もあるので、実質的な負担額はもっと安くなると思います。
防音リフォームの具体的な手法について
それでは、さまざまな音の問題を解消してくれる防音リフォームの手段について、いくつか具体的な方法を解説していきます。ちなみに、一口に「音の悩み」と言っても、家の中で生じる音の問題と、家の外から侵入する音の問題があります。当然、どのような音を解消したいのかによって必要な対策が変わりますので、ここではそれぞれの防音対策の手段について解説します。
家の中で発生する音の防音対策
まずは、家の中で発生する音の問題についてです。戸建住宅であれば、「家族が生じさせる生活音なんだからある程度我慢すれば良いのでは…」と考える方もいるかと思います。しかし、近年では、人々の生活スタイルは多様化しており、ご家族でも生活時間が全く異なることで、他の家族の睡眠を邪魔してしまう…なんて問題が発生するようになっています。さらに、二世帯住宅などになると、2階に子供家族、1階に親が生活するなど、生活空間が隔てられるのですが、1階に住む親世帯が、子世帯が生じさせる音を気にする…なんて事例が多くなっているようです。例えば、小さなお子様が部屋を走り回る足音や、トイレの排水音などが問題になるケースが多いです。
この他、集合住宅の場合は、同じ建物でも別の家族が生活しているわけですので、音の問題が発生しやすいです。こういった、家の中で発生する音の問題は、以下のような防音リフォームが有効です。
■2階からの振動対策
上下階で問題となる生活音は、足音や椅子を引くときの音、食器などを床に落とした時の音が階下に伝わるというものです。特に足音に関しては、想像以上に階下に響きますので、下の階にいる人にとってはかなり迷惑な音になります。
こういった問題を解消するための対策では、床に遮音床ボードなどを設置するのがおすすめです。クッション性のあるインシュレーションボードの裏面に制振マットを圧着したものが遮音ボードで、これを床下地材として使用することで、足音などの衝撃音が下に伝わるのを抑えてくれます。
■排水音対策
近年では、2階以上にトイレ・バス・キッチンなどを配置するご家庭が増えていますが、この場合、下の階に排水音が響いて迷惑をかける可能性があります。実際に、集合住宅や二世帯住宅などでは、水回りの防音リフォームのご依頼が非常に多いです。
排水音の防音対策については、既存の配管を吸音材と防音材で巻き込み、音が外に漏れないようにするのが有効です。
■1階の天井・2階の床の構造を変える
二世帯住宅の場合に可能な対策です。2階からの音を本格的に軽減するには、2階の床だけでなく1階の天井部分にもしっかりと防音対策を施してあげるのがおすすめです。
足音や椅子を引くなどと言った固体伝搬音は、1階の天井と2階の床が構造上つながっているという理由から、振動が伝わりやすくなっています。したがって、二階の音を軽減したい場合は、それらを振動が伝わらない構造に変えることが最も効果的です。
ただ、この方法による防音リフォームは、かなり大規模な工事が必要になりますので、コストもかかります。また、集合住宅の場合、別々の家族な訳ですので、なかなか防音リフォームのために意思統一をするのが難しいと思います。
■壁の内部に遮音材を詰める
これは、隣室への音漏れ対策として採用される場合が多いです。例えば、動画配信などを行っている方が、自分の声が漏れることで家族に迷惑をかけないようにするとか、テレワークとなったことで自宅でも仕事に集中できる環境を作りたいといった目的で行われます。
防音リフォームの方法としては非常に単純で、既存の壁の中にグラースウールなどの吸音材を充填するといった対策になります。なお、吸音材と一緒に遮音シートなども設置しておけば、より高い防音効果を期待することができます。
近年では、生活時間の違いから、トイレの排水音などに悩むご家庭が増えていて、トイレの音漏れを防止するため、トイレの壁に吸音材を充填するといった防音リフォームの要望が増えています。
■部屋の間にクローゼットなどを設置
これは、一見、単なる住宅リフォームのように思えますが、実は高い防音効果を見込むことができるのです。部屋と部屋の間にクローゼットや押し入れを設ければ、部屋が直接隣り合わないようになるので、音が届きにくくなります。さらに、クローゼットの中に収納する衣服や布団などが、吸音材として働いてくれますので、普通にクローゼットとして利用するだけで、防音効果を期待することができるのです。
なお、間取りの問題などで収納を新設できない場合には、背の高いタンスなどを設置することで、同じような効果を期待することができます。
■防音ドアに交換する
ご家族間の音の問題については、室内ドアが防音上の弱点となっている場合が多いです。一般の方は、ドアを閉めていれば、音漏れや音の侵入は気にしなくても大丈夫と考えているかもしれませんが、これが大きな間違いです。
というのも、一般的な室内ドアは、閉めていても換気が行われるように、ドアの下部などに隙間がわざと作られているのです。音は、空気を伝わって広がっていきますので、こういった隙間があればドアを閉めていても、そこから音が漏れていきます。つまり、室内からの音漏れを防止するためには、このドア部分に生じる隙間を埋める必要があるわけですね。
防音室などでは、ドアの防音性を高めるため、防音ドアが採用されます。防音ドアは、ドアを閉める時にパッキンを潰して隙間を無くすような構造になっています。これにより、ドア部分からの音漏れを防止するわけです。そして、部分的な防音リフォームでも、一般的な室内ドアを防音ドアに交換するといった対策が採用されることが多くなっています。
屋外から侵入する音の防音対策
音の問題については、自分たち家族が出す音以外にも、建物外で発生した音が侵入してくることに悩む場合が考えられます。例えば、近所の家が飼っているペットの鳴き声に悩む、家の前が公園になっていて子供の声に悩まされる、自宅前を通る自動車の音がうるさいなどと言った問題です。
こういった屋外からの騒音に対する防音リフォームは以下のような手法があります。
■窓部分の防音対策
外部からの音の侵入や、自室からの音漏れについては、窓の防音性の低さが要因となっている場合が多いです。そもそも、住宅に取り付けられている窓は、外壁などと比較すると非常に薄い素材ですので、音を遮る効果は低いです。さらに、窓は「スムーズに開閉できる」という点も重要なため、窓をきちんと閉めていても、レール部分などに隙間が生じるような構造になっています。こういった窓の構造上の問題から、音の侵入や音漏れの弱点となってしまう訳です。
逆に言えば、窓部分の防音性を高めてあげることができれば、外からの音漏れを大幅に改善することが期待できます。窓の防音リフォームについては、既存の窓ガラスを防音性能が高い防音ガラスに交換する、既存窓の内側にインナーサッシを設置し、二重窓にするといった対策が効果的です。
なお、窓そのものへの防音対策に加えて、カーテンを遮音カーテンにするなどと言った簡易的な防音対策を組み合わせると、より効果的な防音が実現します。
■外壁の防音対策
屋外からの音の侵入については、外壁そのものの防音性を高める防音対策も効果的です。特に、築年数が経過していて、そもそも外壁の防音性能が低いといった建物の場合は、外壁の防音リフォームを検討すべきです。
例えば、外壁材として利用されるサイディングの中には、60dBもの外部騒音を27dBまで軽減することができるようなものも存在します。したがって、外壁リフォームの際などに、高い防音性を持ったサイディングなどを採用するなど、防音効果にも着目して建材選びを進めるのがおすすめです。
この他にも、外壁の内部に吸音材や遮音シートを設置することで、壁そのものの防音性能を高めてあげるという対策も有効です。
なお、外壁の防音リフォームについては、基本的に大掛かりな工事になるので、コストはかなり掛かると考えてください。
まとめ
今回は、「隣の人がうるさい!」など、近隣住人さんとの騒音問題を抱えている方のため、少しでも騒音問題を軽減するための防音リフォームについて解説しました。
この記事でご紹介しているように、一口に防音リフォームと言っても、さまざまな手法が存在していて「どのような音の悩みを抱えているのか?」によって、採用すべきリフォーム手段が変わってくるのです。そのため、間違った防音リフォームにコストをかけたとしても、現在抱えている音の悩みは解決できないtお考えるべきでしょう。
生活音などが原因となる騒音問題については、防音の知識などを持たないリフォーム業者が防音対策を請け負うことが増えています。そして、知識不足から間違った対策を提案し、無駄なコストをかけさせ諸費者トラブルに発展するケースが多く見受けられます。防音工事は、皆さんが考えている以上に、専門性が高い工事ですので、必ず専門業者に相談するようにしましょう。