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工場騒音の対策について!騒音対策の必要性と具体的な防音対策をご紹介します

さまざまな製品を製造する工場では、生産活動に大きな音が伴うことから、近隣住民との騒音トラブルを抱えてしまう危険があります。実際に、この記事をご覧いただいている企業様の中には、「騒音を改善したい…」「騒音対策はどのように行えばいいのだろう…」と言った悩みを抱え、ネット検索してこのページにたどり着いているのだと思います。

工場から生じる騒音については、日頃からしっかりと対策に取り組むことで、大幅に騒音を軽減することが期待でき、近隣住民との騒音に関するトラブルを解決できるだけでなく、従業員の労働環境の改善も実現することが可能です。

そこで当記事では、工場騒音の対策について、なぜ防音対策が必要なのか、また具体的にどのような対策を施せば良いのかについて解説します。

工場における騒音対策の必要性について

それではまず、工場騒音への防音対策の必要性について簡単に解説します。工場では、大型の工作機械などを利用するケースも珍しくなく、「製品の製造のためには音が出るのは致し方ない…」と騒音対策を端から諦めている企業様も珍しくありません。

しかし、騒音は「環境基本法」で規定されている典型7公害の1つでもあり、工場などの作業現場は騒音規制法と呼ばれる法律の対象になる場合もあるのです。つまり、「製造のためには致し方ない」と考え、騒音対策を無視してしまうと、知らないうちに法律違反で罰せられてしまう可能性まであるわけです。

ここではまず、工場における騒音対策の必要性について、いくつかその理由を挙げてみます。

①騒音に関して定められた法律を守るため

日本国内には、音や振動に関して、いくつかの基準が設けられています。例えば、環境基本法による環境基準や、騒音規制法、振動規制法などがあります。

そして、工場や建設現場から発生する騒音に対しては、騒音規制法という法律により、騒音の上限値などが国によって定められているのです。上述したように、騒音は典型7公害の一つに分類されていますので、国民の生活環境の保全や健康を守る目的で、法律による基準が制定されているわけです。

騒音規制法の詳細については、また別の機会に解説しますが、送風機や機械プレス、切削機械などを設置していて、かなりの騒音を発生する工場を特定工場に指定し、騒音の上限値を決める形になっています。騒音規制法では、法で定められた騒音の上限値を超えている施設に対して、改善命令などが出され、それに従わない場合は、罰金や懲役などの罰則まで用意しています。

なお、近隣住民などから騒音に関する苦情が発生した場合、この騒音規制法で定められた基準が指標になります。騒音に関する具体的な規制対象は、地域によって異なるため、詳しくは工場が運営されている地域の自治体などに問合せしましょう。
工場騒音の対策が必要なのは、法律などで定められた基準を遵守するためというのが一つ目の目的です。

②近隣対策のため

法律の基準を満たしていたとしても、近隣住民から騒音に関する苦情が出た場合、何らかの対策を施さなければならなくなるでしょう。実は、工場に対する騒音苦情は、皆さんが考えている以上に全国で発生しています。

全国の地方公共団体が受理する騒音苦情については、40年前と比較すると約6割程度となる1.5万件前後を長く推移していました。しかし、コロナ禍以降、人々の在宅時間が長くなったことから、公共団体に入る騒音苦情が急増しており、令和2年度には約30年ぶりに2万件を超える騒音苦情が記録されています。また、令和3年度に関しても、ほぼ2万件となる19,700件もの騒音苦情が受理されたそうです。そして、この2万件程度の騒音苦情の中でも、工場に対するものが約3割ほどを占める(約5,500件)など、建設工事について第二位に位置しているのです。

なお、地方公共団体に寄せられた苦情だけを計測してこれだけの件数になっているわけですので、潜在的に工場からの音が気になっている…という方はさらに多い可能性が高いと言えます。近隣住民と良好な関係性を保ったうえで、事業を運営していくためには、騒音苦情が発生する前に何らかの対策を施す必要があると言えるでしょう。

参照:令和3年度騒音規制法等施行状況調査の結果について

③労働環境改善のため

工場での騒音対策は、近隣など、外部への対策だけでなく、工場内で働く従業員の労働環境改善を目的に行われる場合も多いです。騒音レベルが高い工場で働いている場合、耳鳴りや他人の言葉が聞こえにくくなるなどの聴覚障害の症状が出てしまう方も少なくありません。皆さんも、ライブハウスなど、大きな音が発生する空間に長時間滞在した時、一時的に音が聞こえにくくなった…なんて経験はあると思います。

そして、工場騒音が問題になるのは、長期にわたって大きな音を聞き続けることになる従業員の方が、工場で働いたことによって難聴という問題を抱えてしまう恐れがある点です。工場騒音が原因となる難聴などは、労働災害にも認められていますし、国によって騒音障害を防止するためのガイドラインなども策定されています。したがって、工場で働く従業員のためにも、騒音対策をおろそかにしてはいけないと考えましょう。

参照:騒音障害防止のためのガイドライン

具体的な防音対策について

ここまでの解説で分かるように、工場の騒音対策は非常に重要性が高く、大きな音が生じる機械、作業が存在する現場であれば、必ず行わなければならないと考えるべきです。それでは、工場騒音は、どのような防音対策を施すことで、その問題を解決できるのでしょうか?

ここでは、防音対策を施す対象別に、いくつかの対策をご紹介します。

①音源に対して行う防音対策

まずは、工場騒音を発生させている音源そのものに施す防音対策からです。

音源を防音材で囲む

騒音の発生原因となっている機械などが特定できている場合、その機械を防音材で囲むという方法がおすすめです。工場で使用する機械・設備は、非常に大きいものもありますが、その機械周辺を箱を作るように囲むことで、音が工場の外へ漏れていくことを防ぐことができます。

この対策のメリットは、防音対策を施す面積が狭くなるという点です。騒音防止のための防音対策と聞くと、建物全体に防音工事を施すとイメージしますが、音源が特定できているのであれば、対象範囲を絞って対策にかかるコストを抑えることができます。さらに、騒音源を囲むという対策は、工場内に大きな音が回ることも防げますので、従業員の労働環境改善にも役立ちます。

機械に制振処理を施す

騒音の原因となる機械が外装板を通して大きな音を発生させている場合、騒音源となっている機械に対して制振シートなどを貼り付けるという防音対策が有効です。この他にも、重量が大きくなるLアングルなどを機械に取り付けるという方法もあります。

この方法も、騒音源そのものに対して対策を施しますので、工場内の労働環境改善に役立つでしょう。

騒音源に防振処理を施す

工場騒音が、機械の振動によるものであれば、防振装置及び機械基礎補強という方法で防音対策を進めることができます。この方法は、一般住宅での振動音対策でも良く採用されています。例えば、エアコンの室外機や洗濯機の振動音で騒音トラブルが発生するケースがあり、その問題を解消するため、室外機や洗濯機の下に防振ゴムや防振シートを設置するという対策があるのです。

工場でも、これと同じような対策で、機械による振動音を防ぐという対策が有効です。

②工場建屋に対して行う防音対策

工場によっては、騒音源そのものに対策を施すことが難しい場合も多いです。例えば、騒音源となる機械の数が多く、部分的に防音ボックスをたくさん作っていくより、工場建屋そのものに防音対策を施す方が安くつくといったケースです。

工場などの作業現場は、居住性が考慮される建物ではないため、壁や屋根そのものの防音性能が低くなりがちという問題があります。例えば、広い空間を確保するため、天井を設けることなく屋根が剥き出しになっているなんて建物が少なくないですよね。この場合、工場内で発生した騒音は、壁や屋根で遮音・吸音されることがなく、そのまま屋外に伝わってしまう可能性が高くなります。したがって、こういった構造になっている工場は、建屋全体に防音工事を施し、防音性能を高めていくという対策が施されます。

注意が必要なのは、工場建屋全体に防音工事を施す対策を採用する場合、工場内で発生する騒音を抑えることは難しいです。したがって、従業員の防音に関しては、耳栓や防音仕様のヘッドホンを支給するなど、別の対策が必要になります。

③工場建屋の周囲に対して行う防音対策

なんらかの理由で工場建屋そのものに防音対策が施せない場合や、騒音源が外部に存在する場合、工場建屋周囲への騒音対策が有効です。

工場建屋周囲への騒音対策では、工場を囲むように防音壁を建てて、周囲へ直接音が届かないようにするといった対策が施される場合が多いです。ただ、この方法は、建屋と壁を建てる場所までそれなりに距離が必要になりますので、その点は注意してください。

④その他の防音対策

工場騒音を抑えるための対策では、専門業者による防音工事以外にも方法があります。

例えば、騒音を発生させている機械について、音が出にくい機械に交換する、また騒音を発生させる作業について、音が出にくい作業方法に変えるなどと言った対策です。この方法は、騒音そのものを無くすことができますので、近隣対策や労働環境改善目的に騒音対策としては非常に有効です。

ただ、「騒音を抑えられるような機械がない」「音を生じさせない代替作業が考案できない」などと言った場合は、上で紹介した方法を採用するしかないでしょう。

まとめ

今回は、工場騒音を抑えるための対策について解説しました。記事内でご紹介したように、作業に大きな音が伴う工場は、法律で基準が定められている以外にも、近隣対策や労働環境改善目的に、何らかの防音対策を施さなければならないと考えてください。

工場騒音は、作業内容、使用機械によってどうしても生じてしまうことになるものが多いため、騒音源を防音材で囲むなど、発生した音を外に漏らさないようにするといった対策が効果的です。なお、工場や倉庫など、広い空間を持つ施設では、空調が効きにくいという特徴があるため、窓やドアを開けっぱなしにしている施設が少なくありません。ただ、音は空気の振動で拡散していくものですので、窓やドアを開放してしまうと、より広範囲に騒音が伝わってしまう恐れがあります。工場騒音による、近隣への影響を可能な限り少なくしたいと考える場合、音が出る作業を行う時には、ドアや窓を閉め切って行うようにしましょう。ドアや窓をきちんと閉めておくだけでも、それなりの防音効果が期待できます。

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