賃貸の空室対策は部屋の防音対策が有効!入居率向上のために考慮したい防音対策をご紹介
今回は、賃貸住宅の空室対策として注目されている部屋の防音対策について解説したいと思います。
近年では、相続税対策などとして、3階建て程度の小規模アパートの賃貸経営を始める方が増えていると言われています。ただ、いくら相続税対策とは言え、賃貸経営をする場合には、可能な限り満室になるような経営状況が望ましいはずです。賃貸物件オーナーからすれば、空室は何よりも恐ろしいもので、どのような対策を施しておけば、安定的な賃貸経営ができるのか…と頭を悩ませる方が多いはずです。
一般的に、賃貸物件での空室対策では、ペット可物件にする、楽器の演奏を認めるなど、近隣の賃貸物件にはない特色をつけるといった目線で方法を検討するケースが多いです。ただ、安定的な賃貸経営を目指すのであれば、ライバル物件のことを考えて方法を検討するのではなく、「入居希望者が何を求めているのか?」ということを考え、自分の物件に機能性を追加するという方法がおすすめです。そして、現在の賃貸業界では、「静かで快適に生活できる物件」というのを多くの方が求めるようになっているとされ、特に音の問題を抱えやすい木造アパートでは、空室対策として我々のような専門業者に防音工事の相談をするオーナー様が増えているのです。
そこでこの記事では、賃貸物件オーナー様に向け、空室対策として有効と考えられるいくつかの防音対策をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
入居希望者が物件に求める条件とは?
安定的な賃貸経営を進めるためには、入居希望者が何を求めているのかを理解し、それに応えられるような設備を導入することが大切です。そこでここでは、近年の賃貸業界で、物件探しをする方が重視する条件が何なのか、また集合住宅で入居者間のトラブルに発展する条件が何なのかをご紹介します。
大手賃貸総合サイトの調査によると、物件探しをしている方が重視する条件については、下のような項目が上位に上がるとされています。
- 第1位 日当たり
- 第2位 バス・トイレ別
- 第3位 駅からの距離(立地)
- 第4位 キッチン・台所
- 第5位 セキュリティ
- 第6位 騒音や治安(周辺環境)
- 第7位 間取り、階数
このように、物件探しをしている方が「譲れない条件」として挙げる項目の上位に、騒音がランクインしているのです。バス・トイレ、キッチン、セキュリティは、日常生活の利便性に直結する設備ですので、当然誰でも気にする問題だということは分かりますが、周辺環境に騒音が少ないことを求める方がこれほどまで多いという事実があるのです。
実際に、国が定期的に行っているマンションなどの集合住宅に関する調査では、集合住宅で発生する居住者間トラブルの原因について「音の問題」がナンバーワンになっているのです。
引用:平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状
マンション総合調査は、国が約5年おきに行っている調査で、この中では居住者間で発生するトラブルについて、何が原因となっていたのかという調査が行われています。実は、長年集合住宅で発生する居住者間トラブルは、違法駐車など自動車の取り扱いが原因となっていたのですが、平成30年度には「生活音」が原因となってトラブルに発展しているというケースが最も多くなっているのです。また、3位にペットの飼育が入っており、これにはペットの鳴き声が関係しますので、音の問題が集合住宅でどれほど危険なのかが良く分かると思います。
これらのデータからも、安定的な賃貸経営を行っていく上では、入居者が、静かで快適に生活ができるような防音対策が非常に重要になると考えられます。次項で、具体的にどのような対策を行えば良いのかについて解説していきます。
空室対策に効果的な防音対策の種類について
それでは、賃貸物件の空室対策として効果的と考えられる防音対策を具体的にご紹介しましょう。賃貸物件オーナー様の中には、部屋の防音対策が空室対策として有効なのではないかと思いながらも、具体的にどのような部分にどんな対策を施せば良いのかがわからず、なかなか実行に移せない…という方も多いと思います。
そこでここでは、近年増加している、3階建て程度の小規模な木造アパートで有効な防音対策をご紹介します。現在では、新築時点での建築技術が向上しており、小規模な木造アパートでも高い気密性を実現していることから、防音性能はそこそこ高くなっています。ただ、鉄筋コンクリート造のマンションなどと比較すると、どうしても壁や天井が薄くなってしまうため、隣家から話し声が聞こえたり、上の階の足音が気になる…と言った声を聞くことは多いです。
ここでは、入居者募集の際にもメリットとして押し出せるようになる、賃貸物件の防音対策をいくつかご紹介します。
壁の防音対策について
木造のアパートは、鉄筋コンクリート造と異なり、壁にコンクリートなどを挟んでいるわけではありません。そのため、どうしても壁が薄くなってしまい、隣り合う住人同士がお互いの生活音に悩んでしまう…というケースが多いです。例えば、生活習慣が異なる住人同士が隣り合う居室で生活する場合、「夜遅くにTVの音が聞こえてきてうるさい!」「夜中に電話する話し声が聞こえる…」と言ったことでトラブルになり、早期の退去者が出てしまう可能性があるのです。こういった問題については、以下のような対策を施すと良いでしょう。
- 内装クロスを防音仕様の物に張り替える
賃貸物件では、退去者が出たタイミングなどで、クロスの張替えを行うケースが多いです。そして、そのタイミングは、壁の防音対策を行うのにちょうど良いタイミングと言えます。実は、クロスの中には、汚れや臭いが付きにくい物、防音効果が高い物など、機能性が高い製品も存在します。賃貸物件では、デザイン性とコストを重視してクロスを選ぶ場合が多いですが、空室が生じにくくなるようにするには、機能性を高めることも大切です。防音効果の高いクロスは、人の話し声であればある程度防音できるぐらいの性能を持っています。もちろん通常のクロスよりはコストはかかりますが、隣接する入居者間のトラブル防止と考えれば安いと思います。 - 防音壁に作り替える
物件を楽器可にするなど、生活音よりも大きな音に耐えられるようにしたいと考えるなら、既存壁を防音壁に作り替えると良いでしょう。壁を一度解体し、中に吸音材や遮音シートを設置することで、高い防音性を持つ壁に作り替えることができます。クロスの張り替えなどと比較すると、かなりコストがかかりますが、15㎡程度を防音壁にする場合で20~25万円ほどで工事が可能です。ここまですれば、防音仕様の部屋として売り出すことができ、家賃を多少上げることも可能かもしれません。
床の防音対策について
木造アパートなど、賃貸物件での入居者間トラブルでは、下の階に住む方が上階の人の足音に悩む…というケースが多いです。ペットの飼育を認めている物件であれば、ペットの足音なども騒音トラブルの原因となります。こういった上下階の住人同士の騒音トラブルに関しては、床の防音対策を施すことで、足音などを伝わりにくくすると良いです。具体的には、以下のような対策が有効です。
- 防音仕様の床材に交換する
防音仕様の床材を導入することで、「足音がうるさい!」と言った理由での退去を防ぐことができるようになるかもしれません。クロスと同様に、床材にも防音性が高い製品が存在します。なお、フローリングではなく、畳やカーペット仕様の床にすれば、音が響きにくくなるものの、多くの入居者がフローリングを求める時代ですので、そういった床材はあまりオススメできません。フローリング材の中にも、遮音フローリングと呼ばれるような製品がありますので、そういった素材に交換すると良いでしょう。ちなみに、床材の交換については、既存床の上にそのまま床材を施工する重ね張りと、一度撤去してから新たな床材を施工する張り替えの二つの方法があります。費用に関しては、6畳程度の部屋で、重ね張りによる対策が6~15万円程度、張り替えで10~20万円程度と、重ね張りの方がかなり安く収まります。 - 二重床にする
床の防音対策では、防音室を作る際に採用される二重床にするという防音対策もあります。簡単に言うと、床を二重構造にすることで、建物の構造体に振動音を伝わらなくして、上下階の音の問題を解消するという方法です。非常に高度な防音対策ではあるのですが、施工にかかる費用は高額になるので、その点は注意してください。二重床にする工事は、25㎡程度に施工する場合でも、40万円前後の費用がかかります。
窓の防音対策について
意外に見落とされがちなのですが、賃貸物件の防音対策では、窓の対策も重要です。特に、交通量の多い道路に面している、目の前に公園など子供が集まる施設があるなどと言った物件の場合、外部騒音の侵入で退去者が出てしまう可能性があります。そして、そういった音を防ぐために有効な手法が窓の防音対策なのです。
- 防音ガラスに交換する
一つ目の対策は、既存の窓ガラスを防音性の高い真空ガラスなどに交換するという方法です。なお、築年数が経過している賃貸物件の場合、アルミサッシが採用されているケースがあるのですが、アルミサッシは隙間が生じやすく、音の侵入原因となってしまいがちです。したがって、この場合は、サッシごと交換するのがおすすめです。 - 二重窓にする
窓の防音対策として最も簡単なのが、既存窓の内側にもう一枚窓を設置して、二重窓にするという方法です。窓ガラスが二枚になるため、音を遮る障害物が二倍になる以外にも、ガラスとガラスの間にできる空気層で音が小さくなるため、外部騒音の侵入を大幅に少なくすることができるのです。二重窓は、施工も容易なので、対策にかかる費用も5万円~と負担も少ないです。なお、窓の開け閉めについて、同じ行動を2回しなくてはならなくなるなど、窓の利便性が下がってしまう点は難点です。 - 窓シャッターを取り付ける
窓シャッターは、防犯用の設備として人気です。近年の低層アパートでは、かなりの確率で取り付けられています。そして、この窓シャッターは、窓部分の防音性を高める対策としても有効なのでおすすめです。
テレワーク用の防音対策をする
コロナ禍以降、日本国内でもテレワークなどの新たな働き方が一般的になっています。実際に、新型コロナウイルス問題が既に落ち着いた現在でも、オフィスに出勤せずに在宅で仕事をしているという方は少なくないのではないでしょうか?
そして実は、賃貸物件の空室対策は、このテレワークに対応するための防音対策が非常に効果的なのです。特に、部屋数が少ない傾向にある、低層の木造アパートなどは、隣家の音だけでなく同居人が生じさせる音などで仕事に集中できなくなる…なんてことも多いようです。したがって、空室対策として以下のような方法が有効となるのではないでしょうか。
- 簡易的な防音ブースを設置する
テレワークが一般化した現在では、安価な防音ブースなるものが販売されるようになっています。楽器用のユニット型防音室ほどの性能はないものの、同居人の姿が視界に入るのを防ぎ、ある程度の防音性を持っていることから、テレワークやリモート学習用に購入する人も多いようです。生活音などが防げるレベルの防音性を求める場合、1台20万円程度は想定しなければいけませんが、「テレワーク用防音室を完備」という非常に強いアピールポイントを作ることができます。 - クローゼットなどを簡易の防音室にする
ある程度高い防音性を保持した防音室を設置したい場合、阪神防音のような専門業者に依頼して、防音室を作るのがおすすめです。テレワーク用の防音室であれば、クローゼットを改造して防音室にするといった対策も可能ですし、部屋に間仕切りを設けて、新たに防音室を作ることも可能です。テレワーク用の防音室は、楽器防音のような高い性能は求められませんし、スペースも1~2畳程度で十分です。そのため、防音工事にかかる費用もかなり抑えることができます。
まとめ
今回は、賃貸物件オーナー様に向け、安定的な賃貸経営の手助けとなる空室対策としての防音対策をご紹介しました。
記事内でご紹介したように、昨今では、相続税対策を目的に、賃貸経営に乗り出す方が増えていると言われています。実際に、大阪市内などの都市部では、マンションやアパートなどの賃貸住宅の県s熱現場を見かける機会は非常に多く、これだけの数の賃貸物件を建てて、本当に入居者が集まるものなのかな…と少し疑問に感じることがあるのも事実です。
現在では、同じエリア内によく似た条件の賃貸物件が立ち並ぶことが増えていますし、空室を生じさせずに安定的な賃貸経営を行うためには、入居希望者が求めている条件に見合った機能性を付加する必要があると考えられ、空室対策としての防音工事が注目されているのです。阪神防音は、一般住宅での防音室工事だけでなく、空室対策を目的とした各種防音対策も請け負っています。安定的な賃貸経営のため、防音工事をご検討中の方がいれば、お気軽にお問い合わせください。