賃貸オーナー様必見!物件の防音対策が空室対策として有効!
新型コロナウイルス感染症は、世界中で人々の社会生活に大きな影響を与えました。特に日本では、今までなかなか浸透してこなかったテレワークや在宅勤務と言った新たな働き方が積極的に取り入れられるようになっており、コロナ対策のための行動制限が解除された現在でも、そのままテレワークを採用している企業はかなり多いようです。
テレワークや在宅勤務は、今まで通勤にかかっていた時間を「自分の趣味のための時間」や「家族と過ごすための時間」として利用できるようになることから、働く人にとっては非常に大きなメリットがあると言われています。しかし、実際にテレワークが導入され、自宅で働き始める方が増えてきた現在では、テレワークによる問題点が指摘され始めています。というのも、日本の住宅は「家で仕事をする」ということがあまり想定されていないことから、他の家族が生じさせる音で仕事に集中できない、WEB会議があると家族に不便な思いをさせてしまうなど、住居の構造が原因となる音の問題を抱えてしまう方が非常に多くなっているのだそうです。特に、木造の賃貸アパートなどになると、建物が持つ防音性の低さから、自宅で仕事をする際にさまざまな音が気になってしまい、防音性の高い物件に引っ越しする方が急増しているそうです。
実際に、全国賃貸住宅新聞が公表したデータによると、賃貸物件を探す時に重視するポイントとして、コロナ前のアンケートでは防音性に注目する方は少なかったのですが、2021年の調査にて「窓の遮音性」という項目が6位にランクインしています。こういったデータを踏まえると、テレワークが一般化してきた現在、賃貸物件の空室対策では、居室の防音性を高めるということが非常に効果的だと言えるでしょう。そこで当記事では、賃貸物件オーナー様が知っておきたい、賃貸物件の防音対策について解説します。
賃貸物件で可能な簡易防音対策
近年では、相続税対策などとして不動産投資をスタートする方が多くなっているのですが、この場合、低コストで始められる3階建ての木造や軽量鉄筋造のアパートが選択されるケースが多いようです。これは、一昔前と比較すると、建築技術や建材の性能が飛躍的に向上しており、木造や軽量鉄筋造の建物でも、高気密・高断熱で高い防音性を実現することができるからだと言われています。また、プレハブ工法が確立されている現在では、大規模なマンション建築などと比較すると、小規模な土地でも低コストで賃貸住宅を建てられ、投資リスクが低いと考えられているのだと思います。
ただ、昨今の木造・軽量鉄筋造の建物が高気密・高断熱化が進んでいるとはいえ、壁や床などの構造体はどうしても薄くなってしまうことから、鉄筋コンクリート造のマンションなどと比較すると、防音性能はかなり劣ってしまうと考えなければいけません。実際に、軽量鉄筋造の新築アパートなどでは、外からの騒音の侵入はあまり気にならないけど、上階の足音はかなり響いてしまう…という苦情が現在でも多いと言われています。特に、コロナ禍で人々の在宅時間が長くなってからは、住人同士の騒音に関する苦情が急増していると言われています。
ここではまず、住人さん自らができる簡易的な防音対策をご紹介しますので、騒音の苦情などがあった時には、以下の方法をアナウンスしてみてはいかがでしょう。
隣からの音を防ぎたい
木造や軽量鉄筋造のアパートなどでは、隣家との境界壁の防音性の低さから、お隣に住む人の話し声やTVの音などが聞こえてきて、不快に感じるといった問題が起きやすいです。この場合、壁の防音性を高めてあげる防音工事が最も有効なのですが、賃貸住宅の場合は人が住んでいる状態で工事を行うのが難しいです。
したがって、こういった苦情に対しては、騒音源となっている方向の境界壁に防音シートや防音パネルを貼り付けるという対策を行うのがオススメです。最近では、ホームセンターやネット通販で、大掛かりな工事を必要としない防音シートやパネルが販売されており、壁を傷つけずに設置することができるような物も多いです。さらに、賃貸住宅で防音需要が高まっていることもあり、デザイン性にも優れた商品が登場していますので、そういったアイテムをアナウンスすると良いでしょう。
賃貸オーナー様や管理会社様のもとには「隣の住人が夜遅くまで大音量でTVを見ていてうるさい!」と言った苦情が入ることも多いようです。こういった場合には、騒音主に注意するのに合わせて、簡易的な防音グッズのアナウンスをすると良いでしょう。
上の階の足音がうるさい
集合住宅で最も多い音の問題が、「上に住む住人の足音がうるさい!」「椅子を引く音がうるさい」など、上下階の住人同士の騒音トラブルでしょう。近年の賃貸物件は、掃除のしやすさなどを考慮して、フローリングが採用されているケースがほとんどだと思います。しかし、使用されるフローリングは、そこまでグレードの高いものではなく、遮音等級などが低いことから、階下まで音が響いてしまっているケースが多いのです。
このタイプのクレームについては、騒音主側も「下の階の住人に足音で迷惑を掛けてやろう!」などとは考えていないケースがほとんどで、自分が騒音主になっていることすら認識していないはずです。物件の構造や住人の歩き方によっては、普通に過ごしているつもりでも、階下に大きな振動音として伝わってしまう…なんてことが考えられるのです。
なおこの場合の対策としては、騒音源となっている住人側に対策を施してもらう必要があります。リフォーム工事などで対処する場合、クレーム主側の居室について、天井の防音工事を行うことで騒音を防止することもできるのですが、これも人が住んでいる状態だと工事が不可能なケースがほとんどです。したがって、「上の階の足音が…」「椅子を引きづる音が…」と言った苦情があった際には、騒音源と考えられるお宅に対して、室内を移動する時はスリッパをはいて足音を出さないようにする、防音性の高いカーペットを敷いて音が生じないようにするなどの対策を施してもらうようにしましょう。
なお、上下階の騒音問題については、騒音主の特定が難しいので注意しましょう。振動音は、構造体を伝って拡散しますので、「足音が…、椅子を引く音が…」と言った騒音も真上ではなく斜め上の場合などがあります。
外部から騒音が侵入する
コロナ禍で人々の在宅時間が長くなってから、昼間の騒音の侵入に対する苦情が増えていると言われています。例えば、幹線道路沿いの物件や目の前に公園がある物件などについては、自動車の走行音や子どもが公園で遊ぶ声などにより、テレワークに集中できないなんてことになるようです。コロナ問題以後もテレワークが続くという方であれば、何らかの対策が必要ですし、騒音が収まらない場合、引っ越しを検討することでしょう。
賃貸物件において、こういった外からの騒音が侵入する要因は、窓の防音性の低さや、24時間換気システムの換気口などが考えられます。窓は、壁などと比較すると圧倒的に薄い素材ですので、音を遮る防音性はどうしても低くなります。換気口については、空気を取り込まなければならない設備ですので、防音仕様でなければただの空洞になっていて、音が侵入し放題になるのです。
このような外からの騒音に対する簡易防音対策は、窓からの音の侵入を防ぐため、防音カーテンを導入する、窓に防音フィルムを貼るといった方法があります。どちらも、ホームセンターやネット通販で手に入れることができますので、住人さんから苦情があった時にはアナウンスしてみると良いでしょう。換気口については、専用の消音材があり、これは住人さんが住んでいても対処可能ですので、オーナー様の負担で設置するのがおススメです。
空室対策にも有効な防音リフォーム
それでは次に、賃貸物件において、騒音の問題を根本的に解決するための対策についてご紹介します。上で紹介した対策は、住人さんが住んでいる状態なので、本格的な防音工事などの対策を施すことが出来ないことから、あくまでも臨時の措置として有効な防音対策です。こういった簡易的な防音対策については、住人さんが費用負担して防音材を購入しなければならない、あくまでも簡易的な対策なので音の問題を解消することができないなどと言ったケースも考えられます。
したがって、賃貸物件オーナー様にオススメなのが、物件で退去者が出たタイミングで我々のような専門業者に依頼して、適切な防音工事を行うという方法です。冒頭でもご紹介したように、コロナ禍で在宅時間が長くなっている現在では、賃貸物件選びの際に「物件の防音性能を重視する」という方が増えています。したがって、賃貸物件に防音工事を施し、防音性を高めてあげることは、空室対策としても非常に効果的だと言えるのです。また、近隣にあるライバル物件にないメリットを付加することもできますので、家賃の低下などを防ぐこともできるでしょう。
ここでは、賃貸物件の空室対策として有効な防音リフォームをいくつかご紹介します。
壁の防音工事
上述したように、賃貸物件での騒音トラブルでは、隣り合うの住人が声やTV、オーディオの音などでトラブルになるケースが多いです。これは、木造や軽量鉄筋の場合、建材の防音性の低さから、そこまで大きな音でなくても壁を通過してしまい、騒音に感じてしまうからです。特に、隣り合う住人さんの生活リズムが大きく異なる場合、壁の防音性の低さから騒音トラブルに発展し、お互いが住みづらさを感じてしまい、退去を選択するなんてことが考えられます。
なお、このタイプの騒音問題はそこまで対処が難しいわけではありません。壁の防音性を高めるためには、壁の中に吸音材や遮音材を設置するというのが一般的で、退去者が出たタイミングであれば、簡単に施工ができます。なお、壁の中に吸音目的として断熱材を設置するのですが、既存壁の構造によっては、多少居室の面積が狭まってしまうケースがあります。
床・天井の防音対策
木造・軽量鉄筋造に限らず、集合住宅では足音などが原因となり上下階の住人で騒音トラブルになることがあります。特に、築年数が経過した木造アパートなどであれば、普通に歩いているだけでも足音が響いてしまうといった物件も少なくありません。
こういった足音などの問題を解消するためには、床の防音対策を行うのが効果的です。最も手っ取り早い方法は、フローリングの上に防音カーペットを設置するという方法なのですが、現在の賃貸事情を考えると、カーペット素材などが敬遠され、フローリングを求める入居者が多いです。したがって、空室対策などの事も考えると、カーペットを設置する方法というのは逆効果に働いてしまう可能性があります。
賃貸物件の空室対策も考慮した防音工事となると、既存フローリングを撤去し、遮音フローリングに交換する、さらにフローリング材の下に吸音材・遮音材を設置するといった対策がオススメです。どの方法を採用するのかによってコストが変わりますので、その辺りは防音工事業者と相談すると良いでしょう。
窓や換気口の防音対策
窓や換気口は、外部騒音の侵入口となりますので、幹線道路沿い、線路沿い、公園が近いなどと言った、騒音源になりうる施設が物件周辺にある場合はしっかりと対策を施しましょう。住宅の高気密化が進む現在では、建築基準法により24時間換気システムの設置が義務付けられています。気密性が高すぎると、室内の空気がどんどん澱んでしまうので、それを防止するために24時間換気システムを設置しなければいけません。この換気システムは、人が健康に生きていくためにはとても重要なのですが、居室の防音性の事を考えると弱点にしかなりません。したがって、高い防音性を実現するためには、防音換気口の設置や、上で紹介した換気口専用の消音材を設置しましょう。
窓については、防音対策と窓の利便性について着目しなければいけないでしょう。分譲住宅などで窓の防音対策を行う場合、既存窓の内側にもう一枚窓を設置して二重窓にする防音リフォームが一般的です。これは、分譲マンションは、住人さんが物件を購入しているものの、窓に関しては建物の構造に関わる、消防的な問題から『共用部』とみなされているためです。要は、防音対策を行いたくても、住人の考えだけで窓ガラスを防音ガラスに交換するといった工事を行うことができない決まりになっているのです。
賃貸物件の場合、物件そのものがオーナー様のものですので、窓ガラスを防音ガラスに交換することも可能です。二重窓は、非常に高い防音性が得られるものの、窓の開け閉めをする際、同じ行動を二回しなければならない、窓の清掃が大変になるなど、窓の利便性が下がってしまう恐れがあります。賃貸物件は、入居希望者に気に入ってもらわなければならないので、小さな不安でも潰しておきたいと思うものですし、可能であれば、窓ガラスを防音ガラスに交換するのがオススメです。注意が必要なのは、築年数が経過した物件の場合、防音ガラスにするには、サッシごと交換しなければならず、この場合は、かなり大掛かりな工事になってしまいます。
まとめ
今回は、賃貸物件オーナー様に向けて、木造や軽量鉄筋造のアパートなどにおける防音対策をご紹介しました。近年、相続税対策などで不動産投資を行う方が増えていると言われているのですが、多くの場合、建築コストが抑えられる木造や軽量鉄筋造の小規模なアパートを経営するというパターンとなります。もちろん、多額のお金を投資して大規模なマンションを建設するとなると、リスクがかなり大きくなるので、相続税対策などとなると、アパート経営など小規模の投資が良いのだと思います。
しかし、賃貸経営というのは、物件に空室が生じないようにしなければならないという点が難しく、特にコロナ禍以降は賃貸物件でも防音性を重視する方が増えている点に注意しなければいけません。というのも、木造や軽量鉄筋造の建物は、どうしても防音性の面では劣ってしまいますので、物件によっては入居者がついても早期の退去者が多く、なかなか賃貸経営が上手くいかない…なんてことになる可能性があります。
こういった悩みを抱えている場合、賃貸物件の防音性に着目するのがオススメです。物件の空室対策にもいろいろな手法がありますが、防音工事は比較的安価にできる対策ですし、さらに「防音性に優れた部屋!」とアピールする事ができるようになります。現在、物件の空室対策を検討中の方がいればお気軽にお問い合わせください。