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防音カーテンって本当に効果があるの?防音カーテン購入前に知っておきたいポイント

今回は、防音工事に関する知識が無い方でも、手軽に部屋の防音対策ができると言われている防音カーテンの効果について解説していきます。

現在では、ホームセンターやネット通販を利用することで、誰でも簡単に防音対策グッズを手に入れることができるようになっています。もちろん、壁の中に施工するような吸音材も販売されていますが、これらは壁を一度解体するなど、複雑な行程が必要になるため、素人の方がDIYで防音工事を行うのはなかなか難しいと思います。しかし、「壁に貼り付けるだけの防音ボード」や「窓やドアに設置するだけの防音カーテン」などであれば、DIYに関する知識すら持っていない方でも簡単に防音対策がほどこせると人気になっているのです。

それでは、誰でも簡単に設置できる防音カーテンについては、本当に巷で言われているような効果があるのでしょうか?この記事では、防音カーテンを購入しようと考えている方に向け、実際に購入する前に知っておきたい防音カーテンに関する知識をご紹介します。

防音カーテンが利用されるのはどこ?

防音カーテンは、部屋の中で最も音が漏れやすい場所に設置し、その部分の防音性能を補強するという目的があります。それでは、部屋の中で最も音が漏れやすい場所とはどこになるのでしょうか?

実は、一般住宅のお部屋であれば、「窓」と「ドア」部分が防音上の弱点になるケースが非常に多いのです。

「窓」と「ドア」が音漏れしやすい理由

お部屋の中でも「窓」と「ドア」から音が漏れやすくなってしまうのには、明確な理由が存在します。以下に、窓とドアが音漏れの原因になりやすい主な理由をご紹介します。

①壁と比較すると厚みがないから

窓やドアの防音性能が低くなるのは、壁と比較すると厚みが無いからというのが大きな理由になります。

一般的に、壁は15cmほどの厚みを持っているのですが、通常の室内ドアはその半分程度の7~7.5cm、窓になると0.2~0.8cmほどしかありません。建材の防音性能は厚みや密度、重さに比例して高くなりますので、厚みのないドアや窓はどうしても防音性が低くなってしまう訳です。

なお、薄い窓でも、防音性を高める対策が施された防音ガラスを採用していれば、高い防音性を確保することは可能です。

②窓やドアは隙間が生じるから

音は、固体の振動で伝わる固体伝搬音と、空気を振動させて拡散する空気伝搬音が存在します。そして、空気伝搬音は、距離で減退するものの、空気でつながっていれば伝わっていってしまうのです。

それでは、一般的な窓やドアはどうでしょうか?皆さんは「きちんと閉めていれば隙間なんかないのでは?」と考えるかもしれませんね。しかしこの考えが間違いで、窓やドアはきちんと閉めていても隙間が生じる構造になっていて、防音上の大きな弱点になってしまう訳です。

例えば、皆さんの部屋の室内ドアを閉めた状態で見ていただければ分かりやすいのですが、ドアの下部に1cmほどの隙間が生じていると思います。実は、24時間換気が求められる現在の住宅では、ドアを閉めていても効率的に換気がなされるよう、わざと隙間が生じるような構造になっているのです。窓についても、開閉がスムーズに行われるよう、レール部分に隙間が生じる構造になっています。つまり、窓やドアは、きちんと閉めていても、どうしても生じる隙間から音漏れが生じてしまう訳です。

窓やドアの問題を防音カーテンで解消できる?

一般的な住宅の部屋には、上記のような防音上の弱点が存在します。それでは、防音上の弱点となる窓やドアについて、防音カーテンを設置することで本当に音の問題を解消することができるのでしょうか?防音カーテンと言っても、「所詮布で作られたカーテンなんだし、たいして意味がないのでは?」と考える方も多いかもしれません。

この問題については、通常のカーテンと比較して、正しい方法で設置された防音カーテンであれば、空気伝搬音の問題なら効果を見込むことができると思います。ただ、注意しておきたいのは、防音カーテンを販売している業者さんのHPなどで紹介されているほどの高い防音効果は期待しない方が良いでしょう。業者さんの中には、防音カーテンを設置することで、80%の減音効果が得られたといった解説をしているような場合もあるのですが、これは測定方法が間違っているか、性能を良く見せるために無理矢理作ったデータなのではないかと考えられます。

なお、防音カーテンによる防音効果については、人の話し声やTVの音声、緊急車両のサイレン音など、空気伝搬音のみに有効です。ドラムや近所の工事現場の音など、固体伝搬音に関しては、何の効果も発揮しないので、現在の音の悩みがどのような音なのかをしっかり分析し、防音カーテンを設置する意味があるのか慎重に検討しましょう。

防音カーテン購入前に知っておくべきポイント

それでは、防音カーテンの購入を検討している方が、実際に購入する前に知っておきたい重要ポイントをいくつかご紹介します。

①防音カーテンの仕組み

そもそも皆さんは、「防音」というものがどういった仕組みでもたらされているのか知っているでしょうか?実は、防音というのは、あくまでの概念的な物であり、実際の効果は「音を遮る」と「音を吸収する」能力を持たせることで実現しています。例えば、音を遮る能力に関しては、固く分厚い金属ほど高くなりますし、柔らかいクッションや布団などは音を吸収する能力を持っています。

そして、市販されている防音カーテンについては、前述した二つの効果を持たせるため、特殊な加工が行われているのです。例えば、通常のカーテンとは異なり、吸音効果を高めるために特殊な織り方にした生地を採用したり、生地を複層にするといった工夫がなされています。そして、遮音効果については、カーテンに金属を使用した特殊なコーティングをすることで実現する場合が多いです。

防音カーテンを購入する時には、どのような方法で吸音効果や遮音効果を持たせているのか、商品の詳細まで確認しましょう。中には、特殊な加工を施さず、分厚い生地を採用しているだけで防音カーテンを名乗っているような商品もあり、そういった物を購入すると何の効果も感じられない結果になるはずです。

②防音カーテンが効果的な音の種類について

上でも少し触れていますが、防音カーテンは、どのような音にも効果的なアイテムではありません。窓やドアに防音カーテンを取り付けることで軽減できる音の種類は空気伝搬音に限られます。具体的には、以下のような音に対して効果を期待できます。

  • 人の話声
  • TVやオーディオの音
  • ペットの鳴き声
  • 楽器の音の中でも中音域から高音域の音
  • 赤ちゃんの泣き声

防音カーテンは、上記のような「空気の振動で伝わる音」に対して有効です。その逆に、以下のような音に対しては何の効果も見込めません。

  • 電車や車の音
  • 工事の騒音
  • ドラム音

上記のような音は、固体の振動で伝わりますので、カーテンでは音を防ぐことができません。なお、私たちの日常生活の中では、空気音と固体音が混ざった「混合音」というものもあります。この混合音に悩んでいる場合、防音カーテンを設置することで空気音については軽減できるため、多少の効果を体感できるかもしれません。

③防音カーテンの設置方法について

防音カーテンは、設置方法を間違ってしまうと、本来の効果を発揮できなくなります。防音カーテンを設置する時のポイントは、空気が漏れる隙間を可能な限り無くすように、ぴったりと窓、もしくはドアを覆うように設置しましょう。

上述したように、防音カーテンは、空気音対策として効果的な防音アイテムなので、空気を可能な限り遮断してあげなければ、本来の効果を発揮することができないのです。例えば、窓の大きさに対して、カーテンの丈が足りず、下部に隙間が生じている…と言った設置方法の場合、隙間からの音漏れで防音カーテンを設置する意味がなくなってしまいます。

したがって、防音カーテンを購入する時には、設置予定場所の窓やドアの寸法を正確に測り、全ての部分を覆うことができるサイズのものを購入しましょう。ちなみに、カーテンボックスを利用すれば、上部の隙間を無くすことができるので、より防音カーテンの効果を体感しやすくなります。

④防音効果を実感できないこともある!不安なら他の方法を検討

防音カーテンを購入する前に注意したいのは、防音カーテンを設置しても、防音効果を体感できなかったという方も少なくないという現実です。これについては、安物の防音カーテンを購入した、設置方法が悪かった、そもそもカーテンで防げる音の種類ではなかったなど、さまざまな原因が考えられます。ただ、防音カーテンそのものについても、本格的な防音室工事などに採用されることはなく、あくまでも個人の方が簡易防音対策で利用する程度のものなので、問題となっている音の大きさによっては、多少の効果は発揮していても、体感できるほどではないというだけの場合もあります。

最近では、防音カーテンの通販サイトなどが防音効果についてかなり大げさに説明しているため、防音カーテンが非常に高い防音効果を持っていると勘違いしている方が多くなっています。皆さんに覚えておいてほしいのは、防音カーテンは、あくまでも簡易的な対策で、人の声やTVの音を軽減できる程度のアイテムです。したがって、「夜間にピアノを弾きたい」「自宅でカラオケを楽しみたい」など、大きな音が生じる場合は、防音カーテンではなく、本格的な防音工事が必要と考えてください。

まとめ

今回は、誰でも簡単に取り入れることができる防音カーテンの効果について解説しました。この記事でご紹介したように、部屋の中で音漏れの原因になりやすいのが窓とドアなのですが、この部分を防音カーテンで覆うことで効率的に音漏れを防ぐことができるようになると言われています。

実際に、防音カーテンは学校の音楽室などにも導入されていることから、窓やドアの防音性を高めるには最も手軽で効果が見込める方法と考えられるでしょう。ただ、本格的な防音工事と比較した時には、得られる防音効果はそこまで高い物ではなく、「夜間に楽器の演奏を行いたいから」と言った理由の場合は完全に役不足の対策になってしまうことでしょう。

防音カーテンは、人の声や赤ちゃんの泣き声、TVの音など、生活騒音をある程度軽減することができる程度の認識を持っておいた方が良いでしょう。また、通常のカーテンのように、単にカーテンレールからぶら下げておくだけになってしまうと、カーテンの上部と下部に隙間が生じるので、防音対策の意味がなくなってしまいます。防音カーテンに高い防音効果を期待するのであれば、カーテンボックスも同時に取り付けるなど設置方法に工夫が必要だと考えてください。

ちなみに、楽器の演奏やカラオケ、ホームシアターなどを目的とした防音対策の場合、防音カーテンでは役不足なので、専門業者による防音工事を検討しましょう。