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防音ガラスは本当に効果がある?防音ガラスの値段や種類について解説します

現在のお住まいにて、何らかの音の問題を抱えた時には、窓の防音対策が効果的だという話を耳にしたことがあると思います。窓は、非常に薄い素材で構成されているため、どうしても外壁などと比較すると、音を遮る防音性が低くなってしまいます。また、窓は「換気のため」に設けられている部分があるため、そこに住む人が開閉を不便に感じるような構造になってはいけないので、閉めていてもある程度の隙間が生じる構造になっていて、そこから音が出入りしてしまうという弱点があるのです。

このような防音上の弱点となり得る窓については、二重窓や既存窓ガラスを防音ガラスに入れ替えるといった防音対策が有名です。しかし、今まで防音工事などを行ったことがない人であれば、見た目上は通常のガラスとそこまで大きな違いを感じない防音ガラスについて「防音ガラスは本当に効果があるの?」「防音ガラスに交換する場合、いくらぐらいかかるの?」と言った点が気になり、なかなか防音工事に踏み切れないという方も多いようです。二重窓についても、窓が二枚あっても壁よりは薄いし大した効果がないのではないか…と感じる方も少なくありません。

そこでこの記事では、外部騒音の問題を解決するために非常に有効とみなされている窓の防音工事について、防音ガラスの種類や工事にかかる費用、得られる効果などについて解説します。

防音ガラスの基礎知識について

それではまず、通常の窓と異なり防音ガラスなどと呼ばれるものがどういった対策なのかについて簡単に解説します。防音ガラスは、その名称から分かるように、外部から騒音が侵入するのを防ぐ、また室内の音が外に漏れにくくなる効果を持つ窓ガラスのことを指しています。一般的には、カラオケボックスや学校の音楽室など、特に大きな音が生じる場所で採用される製品となります。ただ、最近では、人々の生活空間が近くなったこともあり、隣人の生活音を防ぐ、ペットの鳴き声を防ぐといった目的で、一般住宅にも採用されるケースが増えています。

なお、一口に防音ガラスと言ってもいくつかの種類が存在しますので、窓の防音対策を検討した時には、それぞれの特徴を理解したうえで、どのタイプを導入するのか検討しなければいけません。ちなみに、窓の防音性の低さは「壁などよりも薄い素材だから」と解説されるため、防音ガラスは分厚いガラスなのだとイメージする方が多いです。ただ、ガラスの防音性能は厚みだけで決まるのではないので、その点は注意が必要です。もちろん、薄い物より厚みのある物の方が遮音性は高くなるのですが、ガラスはどれだけ分厚くしても特定の周波数の音が通り抜けてしまうことがあるのです。

例えば、薄いガラスは高音域の音が通過しやすい、分厚いガラスは中音域の音が通過しやすいなど、「ガラスの厚みを増やす」という対策だけでは、窓の防音対策としては不十分です。効果的な窓の防音方法については後述します。

防音ガラスの種類について

窓の防音対策は、家の前を走行する車や電車の音、近所のペットの鳴き声など、外部騒音の侵入を防ぎ、静かな住空間を構築するために行う方が多いです。また、自宅で楽器の演奏を行いたい、ホームシアターを設置したいなどの要望がある場合、専用の防音室を作らなければならないのですが、防音室の窓は高い防音性が求められるため、防音ガラスによる対策が施されます。

ただ、一般的に防音ガラスと呼ばれる窓の防音対策については、いくつかの種類が存在します。ここでは、防音ガラスの種類と得られる効果について簡単にご紹介します。

合わせガラス

一つ目は「合わせガラス」と呼ばれるタイプです。これは、一般的なガラス2枚を重ねている窓ガラスです。ただ、単にガラスを重ねるだけでなく、ガラスとガラスの間に特殊な素材の膜を挟み込むことで、いろいろな効果を持たせています。

防音を目的とした合わせガラスの場合、振動を吸収することができるような特殊膜を挟み込んで防音効果を高めています。なお、「合わせガラス」と呼ばれる場合、その全てが防音ガラスになるわけではありません。実は、ガラスとガラスの間に挟む特殊膜の性質によって得られる効果が大きく異なります。例えば、紫外線をカットする効果を持つタイプや、非常に高い強度を持つ特殊膜を挟んで、空き巣などの被害を防ぐ防犯ガラスも合わせガラスの一種です。したがって、合わせガラスタイプの防音ガラスを採用する際には、防音合わせガラスなどとして販売されている製品を選ばなければいけません。

合わせガラスは、一般的に、防音効果よりも防犯効果を求めている方が採用するケースが多いです。

複層ガラス

二つ目は「複層ガラス」と呼ばれるタイプです。複層ガラスも、その名称から分かるように複数のガラスを採用した窓ガラスです。合わせガラスとの違いは、ガラスとガラスの間に挟み込むのが特殊な膜ではなく、ガスや空気と言った物になる点です。一般的に、複層ガラスは窓部分の断熱性向上や結露対策を目的に作られていますので、そういった複層ガラスは高い防音効果を期待することはできません。

しかし近年では、ガラスとガラスの間にある空間を真空状態にする真空ガラスと呼ばれる製品が登場していて、このタイプの複層ガラスは非常に高い防音効果を持っています。また、防音効果を高めるために作られた複層ガラスには、防音合わせガラスを使用したり、自動車に使うレゾネーターという特定な周波数の音を軽減する部品を用いられた物があり、このタイプであれば高い防音効果を期待できます。

複層ガラスタイプの防音ガラスは、防音効果だけでなく、断熱性向上や結露対策も期待できますので、新築業界で採用される場合が多いです。

二重窓

最後は二重窓と呼ばれるものです。二重窓については、防音ガラスというよりは、窓の防音性を高めるための施工方法を指しているようなイメージです。ただ、防音工事業者の中には、二重窓のことを指して防音ガラスと呼んでいる場合もありますので、ここでは防音ガラスの一種としてご紹介します。

二重窓については、上述したような窓ガラスそのものに特殊な加工を行っているわけではありません。この方法は、既存窓の内側に窓サッシごともう一枚窓を追加設置して、二重状態の窓にする対策を指しています。二重窓にすれば、窓と窓の間に空気層ができることから、そこで減音ができるようになり、高い防音効果が得られるのです。さらに、新たに設置する窓について、上で紹介したような防音合わせガラスや真空ガラスを採用すれば、さらに高い防音効果を期待することができるようになります。

二重窓の利点は、窓が二枚になることから、サッシ部分にできる隙間からの音の侵入・漏れも防ぐことができるようになる点です。上述した防音ガラスの場合、窓ガラスについては高い防音効果が得られるものの、サッシ部分の防音性が低下していた場合、窓ガラスの交換だけでは高い防音性を得ることができないです。しかし、二重窓の場合、窓サッシも二重になるため、その部分からの音の侵入も効率的に防ぐことができるようになるのです。
なお、二重窓による防音対策は、窓部分の断熱性向上や結露対策、空き巣被害を防ぐための防犯対策としても効果的と言われています。窓が二枚になれば、侵入に時間がかかるようになるため、空き巣犯などから狙われにくくなるという効果が期待できます。

防音ガラス交換工事にかかる費用相場

それでは次に、窓の防音対策を検討した時、上述したような防音ガラスへの交換工事にかかる費用についてもご紹介します。なお、防音ガラスは、採用するガラスのグレードによってかかかる費用が異なります。各防音ガラスへの交換工事にかかる費用は以下の通りです。

  • 合わせガラスを採用する場合:40,000円~60,000円
  • 複層ガラスを採用する場合:50,000円~80,000円
  • 二重窓を採用する場合:60,000円~15,000円

上記費用は、窓ガラスの本体価格と取り付け工事費用を含んでいます。もちろん、大まかな費用相場ですので、窓ガラスの交換工事を依頼する業者によって、かかる費用は多少上下すると思います。詳細な費用が知りたい方は、業者から見積もりをとってみましょう。

防音ガラスを使用する場合のポイント

窓の防音対策に防音ガラスの使用を考えた時には、いくつか注意しなければならないポイントがあります。ここでは、防音ガラスによる防音対策を成功させるためにも、皆さんがおさえておきたいポイントをいくつかご紹介します。

引き違い窓の防音は二重窓がおすすめ

住宅の窓として一般的なのは、横にスライドさせることで開閉する引き違い窓と呼ばれるものです。開閉がスムーズにできるというメリットがあるのですが、開き窓と比較すると、気密性が低くなります。もちろん、引き違い窓についても、合わせガラスや複層ガラスなどを用いた防音ガラスを使用することが可能です。しかし、引き違い窓は、開け閉めが容易になるよう、上下左右に隙間が生じるような構造になっているため、窓ガラスそのものの防音性が高くなっても、隙間から音が侵入する可能性が高いです。

したがって、しっかりと防音したいと考える場合、引き違い窓に関しては二重窓による対策が有効です。

防火地域は二重窓がおすすめ

防火地域にある住宅は、防火基準を満たした窓ガラスを使用しなければならないと定められています。そのため、防火地域の住宅窓には、網入りガラスが採用されています。網入りガラスは、万一火災が発生した際も、ガラスが飛散して住人の避難を困難にすることが無いように考案されていて、防音性はそこまで重視されていません。

しかし、防火地域で窓の防音性を高めたいと考えたとしても、この網入りガラスを防音ガラスに交換することが難しいのです。防火地域で窓の防音対策を行う場合、網入りガラスがはめ込まれている既存窓の内側に、もう一枚窓を設置する二重窓による対策が有効です。二重窓にするため、内側に新たに設置する窓については、防火基準を気にする必要はありません。なお、同じ防火地域内でも、建物によって窓ガラスに求められる基準は異なります。したがって、そういった地域で窓の防音を考えた時には、念のため自治体に確認を取るのがおすすめです。

音の侵入はサッシが原因の場合がある

窓の防音性については、窓ガラスが原因ではなく、窓サッシの防音性の低さが原因となる場合もあります。例えば、築年数が経過した住宅の場合、窓サッシにはアルミサッシが採用されている場合が多いのですが、アルミサッシは隙間が生じやすいため、サッシそのものが音漏れや侵入の原因となります。こういった住宅で、窓ガラスだけ防音ガラスに交換したとしても、サッシの隙間から音が侵入してくるので、「防音ガラスにしたけど何の効果も感じない…」なんてことになる可能性があるのです。

現在、窓の防音対策を検討している方で、窓サッシにアルミ製のものが採用されている住宅は、窓サッシごと交換するのがおすすめです。寒冷地域の窓に採用される樹脂サッシは、非常に高い気密性を誇っているため、高い防音性を実現してくれます。つまり、サッシを樹脂サッシに、ガラスを防音ガラスにするという二重の対策で、高い防音効果を期待することができるわけです。注意が必要なのは、窓サッシと窓ガラスを同時に交換するとなると、施工にかかる費用がかなり高くなってしまいます。

換気口の対策を忘れずに

現在の住宅は、24時間換気システムの設置が義務付けられています。どのような住宅の居室にも、外気を取り込むための給気口が設けられているのですが、防音仕様の給気口でなければ、音の侵入口となってしまう可能性があります。一般住宅の24時間換気システムは、第3種換気と呼ばれる仕組みが採用されているケースが多いのですが、この場合は、排気のみ機械で行い、給気は自然に外気が入ってくる仕様になります。つまり、居室には外気が入ってくるための穴があけられているという意味なのです。

こういったことから、窓の防音対策をいくら行ったとしても、給気口の防音を無視してしまうと音が侵入してきてしまいます。したがって、窓の防音対策に合わせて換気口の防音対策も同時に行う必要があると考えましょう。

集合住宅の場合、窓ガラスの交換が難しい

まず賃貸に住む方の場合、防音ガラスの導入による防音対策は難しいでしょう。どの種類の防音ガラスでも、部屋に手を加えるためのリフォーム工事が必要になるのですが、基本的に部屋を傷つけるようなリフォームを家主さんが認めてくれません。したがって、賃貸の場合は、防音カーテンを設置するなどの方法で、窓の防音性を高めるしかないと思います。

分譲マンションに関しては、自分の持ち物なのだし、どの方法でも採用可能と考える方が多いです。しかし、ほとんどの分譲マンションでは、窓ガラスは共用部分という扱いになっていて、窓ガラスそのものを住人の意向で交換することができないようになっているはずです。この辺りは、管理規約に記載されていると思いますので、工事を依頼する前に確認しておきましょう。分譲マンションで窓ガラスが共用部の扱いを受けるのは、マンションそのものの構造に影響を与えるからです。また、マンション全体の外観イメージにも影響を与える可能性があるため、基本的に住人の意向でガラスを交換することが禁止されているのです。ただ、分譲マンションの場合、部屋の中にもう一枚窓を設置するという二重窓工事は問題なく施工可能です。つまり、防音ガラスによる対策そのものは問題なくできます。

まとめ

今回は、窓の防音対策として有効と言われている防音ガラスについて解説しました。防音ガラスと聞くと、複層ガラスや合わせガラスの中で防音効果を持つものを指していると考える方が多いです。もちろんその考えは正しいのですが、二重窓という方法も防音ガラスの一種と判断する業者もいるのでその点は注意しましょう。

一般的な窓ガラスは、非常に薄い製品となるため、壁などと比較するとどうしても防音性が低くなってしまいます。そのため、外部騒音に悩んでいる場合などは、窓の防音対策を施すことで劇的に改善することができる場合もあるのです。

記事内でご紹介したように、防音ガラスによる窓の対策にも、いくつかの手法がありますので、まずは阪神防音までお問い合わせください。