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ピアノの防音を考えるなら、アップライトピアノとグランドピアノの違いはおさえておこう!

日本人にとって最もなじみ深い楽器と言えるのが「ピアノ」なのではないでしょうか?ピアノは、子供の情操教育に役立つと言われていることから、小さなお子様にピアノを習わせているという方は少なくないと思います。そして、ピアノを習わせる場合、自宅にもピアノを置こうかな…と考える方がいるのですが、この場合、ピアノの種類で迷ってしまうケースがあるようです。

実は、ピアノという楽器は、大きく分けると、アコースティックピアノと電子ピアノに分類することができ、さらにアコースティックピアノでも、アップライトピアノとグランドピアノの2種類が存在しています。それでは、自宅にピアノを置こうと考えた時、アップライトピアノとグランドピアノならどちらを選べば良いのでしょうか?一般の方からすると、見た目が違うだけで、ピアノの機能や音色はどちらも一緒じゃないのと考えてしまうかもしれません。しかし、わざわざ異なる種類のピアノが作られているわけですし、この二つのピアノにはさまざまな違いが存在するのです。

ピアノを自宅に置く際には、防音室も同時に用意しなければいけませんが、アップライトピアノとグランドピアノでは、防音室に求められる性能も変わってきます。そこで当記事では、アップライトピアノとグランドピアノについて、代表的な違いを解説します。

アップライトピアノとグランドピアノの違いについて

それでは、アップライトとグランドピアノの代表的な違いをご紹介していきます。

「アクション」の構造が大きく違う

画像引用:カワイ公式サイトより

ピアノの「アクション」を簡単に解説すると、鍵盤を押したとき、ハンマーが弦を打つピアノの仕組みのことです。要はピアノが音を出すための仕組みと考えていただければおおよそ正しいです。

上の画像は、グランドピアノとアップライトピアノ、それぞれのアクションの動きを解説したものです。左側がグランドピアノ、右側がアップライトピアノのアクションです。画像を見ると、明確に異なるのが良く分かると思います。

まずアップライトピアノは、弦が垂直に張られていて、ハンマーが横から弦を叩く仕組みになっています。ハンマーは、バネの力を使って戻る仕組みになっているため、ハンマーが元の位置に戻るのに時間がかかります。したがって、連打は1秒に7回前後が限界とされています。これに対してグランドピアノの場合、弦が水平に張られて、ハンマーは下から弦を叩いて、自重で元の位置に戻る仕組みになっています。そのため、ハンマーが元の位置に戻っていない状況でも次の打鍵ができるのが特徴です。この構造から、グランドピアノは1秒に14回以上の連打が可能とされています。

この他、アップライトピアノは、アクションの調整箇所が少ないため、音色や鍵盤の重さに関して調整幅に限界があるのに対し、グランドピアノは、それに比べて調整箇所が多いため、繊細な調節・調音が可能となります。

音の違いがある

アップライトピアノとグランドピアノでは、同じピアノではあるものの、音の違いがあります。なお、音の違いとは、音量、音色、響き方など、さまざまな面についてです。

まずアップライトピアノですが、グランドピアノと比較すると、響板の振動面積が狭くなるため、音の強弱の幅が限定的になります。また、そもそもボディの大きさがグランドピアノよりもかなり小さいため、蓋を開けて演奏したとしても、音量はグランドピアノに及びません。他にも、アップライトピアノは、その構造から、どうしても音がこもりがちになってしまうという点も大きな特徴です。

一方グランドピアノはというと、ボディ全体が共鳴体となるため、強弱の幅が広くなり、低音から高音まで良く響きます。また、響板から出る音を演奏者が聴きながらピアノを弾くことができるため、繊細な表現ができるようになるとされています。グランドピアノは、和音(複数の音)を弾いた時にも、音が濁らずクリアに響くのも特徴とされています。

このような音の違いから、アップライトピアノとグランドピアノでは、防音室に求められる性能がかなり違ってくるわけです。

ペダルに違いがある

アップライトピアノとグランドピアノでは、ペダルの役割に違いがあります。また、ペダルの名称も異なります。

まずアップライトピアノですが、一般的に3本のペダルが付いていて、右側が「ダンパーペダル」、中央が「マフラー(弱音)ペダル」、左側が「ソフトペダル」と呼ばれます。グランドピアノとの違いは、中央にあるペダルがマフラーペダルだという点です。
グランドピアノも一般的に3本のペダルが取り付けられていて、左右はアップライトと同じなのですが、中央に「ソステヌートペダル」と呼ばれるものが付いています。ソステヌートペダルは、直前に弾いた音の余韻を残すことができるという機能があり、これにより音楽的表現の幅が広がるとされています。特に、近現代の楽曲を演奏する上では、非常に重要なペダルとされています。

タッチが異なる

アップライトピアノとグランドピアノは、上述したように、アクションが異なりますので、演奏時のタッチも違いが生じます。

アップライトピアノは、打鍵するとハンマーが横から弦を叩くことで音が生じる仕組みになっています。したがって、指先の力はハンマーアクションに伝わりにくく、タッチの幅が狭くなりがちと言われています。また、構造上、音がこもりやすいという特徴から、微妙なタッチによる音色の変化を表現しにくいと言われています。

一方グランドピアノは、打鍵すると下からハンマーが弦を叩く仕組みになっているなど、アップライトピアノよりも自然の力を利用する構造になっています。そのため、指先の力がハンマーアクションに伝わりやすく、微妙なタッチによる音色の変化なども表現でき、音楽的表現の幅が広がります。

大きさの違い

これは非常にわかりやすい違いです。アップライトピアノとグランドピアノでは、見るからにピアノ本体の大きさが異なります。自宅にピアノを置くときには、どちらを選ぶかで占有面積がかなり変わるので注意しましょう。

まずアップライトピアノの大きさですが、一般的に「高さ114~131cm程度、間口149~153cm、奥行き53~65cm前後」となります。もちろん、ピアノメーカーやモデルによって大きさは異なります。自宅にアップライトピアノを置きたいと考えた時、必要になる面積については、ピアノ本体の大きさだけを考えてはいけません。ピアノを設置する際には、通気性や騒音対策の面を考えなければならないことから、壁から10~20cmほど離しておくことが推奨されます。また、演奏時の椅子などのことを考えると、おおよそ1㎡程度は必要になるでしょう。

次にグランドピアノですが、こちらはモデルによってさまざまなサイズがあります。グランドピアノの大きさについては、奥行きに注意しなければならないのですが、ベビーグランドピアノとフルコンサートグランドピアノでは、なんと1m以上もの大きさの違いが生じるのです。以下に、グランドピアノの種類ごとの奥行きの目安をご紹介します。

  • ベビー:150cm
  • 1型:161cm
  • 2型:173cm
  • 3型:186cm
  • 4型:200cm
  • 6型:211cm
  • セミコン:227cm
  • フルコン:274cm

このように、グランドピアノは、どのタイプを購入するのかによって大きさがかなり異なります。なお、自宅にグランドピアノを設置したいと考えた時には、最低でも2.5㎡のスペースが必要と考えておきましょう。

価格が違う

最後は、ピアノを購入する際にかかる費用の違いです。アップライトピアノとグランドピアノは、同じピアノではあるものの、信じられないほどの価格差が生じる場合もあります。

まずアップライトピアノの価格についてですが、国内の主要メーカーが販売するアップライトピアノであれば、安いものなら新品でも60万円~と言った費用で購入することが可能です。なお、スタインウェイやベーゼンドルファーなど、海外メーカーの物となると、アップライトピアノでも400万円以上のコストがかかります。

次にグランドピアノの価格についてです。グランドピアノは上述したように、さまざまな種類があるので、どのタイプを購入するのかによって相場はかなり違います。参考として紹介すると、国内主要メーカーの物であれば180万円~と言った予算を用意しておくとそれなりの物が購入できると思います。ただ、スタインウェイやベーゼンドルファーなど、海外メーカーのグランドピアノとなると、1000万円を超えるような価格になるので注意してください。

ちなみに、ピアノは、中古市場がかなりしっかりしていますので、初めてピアノを購入するという方の多くは、まず中古で購入するという選択が多いようです。アップライトピアノであれば、新品の半額程度、グランドピアノになると、新品の1/3程度の価格で販売されているものもありますので、手を出しやすいと思います。

まとめ

今回は、日本人にとって非常になじみ深い楽器であるピアノについて、アコースティックピアノにも種類が存在することを解説しました。記事内でご紹介したように、アコースティックピアノにも、アップライトピアノとグランドピアノの二種類が存在していて、どちらを利用するのかによって演奏時のタッチや音色、音楽的表現の幅がかなり変わってしまいます。コンクールなどになると、グランドピアノが使用されることになるわけですので、本格的にピアノの練習をしたいと考えるなら、自宅にもグランドピアノを設置するのがおすすめです。

ただ、グランドピアノは、本体が非常に大きい以外にも、アップライトピアノよりも音量が大きい、ピアノ全体が共鳴体となるため振動の影響が大きくなるなど、演奏時には非常に高い防音性能が求められると考えてください。防音室を作るための防音工事にかかる費用位についても、アップライト用の防音室より、グランドピアノ用の防音室の方が高くなります。

現在、ピアノ用防音室の設置をお考えであれば、お気軽に阪神防音までご相談ください。

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